日本オラクル、供給計画シミュレーション製品「Oracle Rapid Planning」

製造・販売の突発的イベントに日次で対応

アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 ソリューション1部 シニアディレクターの岡田行秀氏

 日本オラクル株式会社は10月28日、製造業のサプライチェーンにおける供給計画シミュレーション新製品「Oracle Rapid Planning」を発表した。11月中旬より提供開始する。なお、数多の買収により製品ポートフォリオを拡大する同社だが、今回の新製品は、完全自社開発のものとなる。

 Oracle Rapid Planningは、供給計画シミュレーション製品。確定したサプライチェーン計画に対して、突発的な事態に対応できるよう、供給シナリオをシミュレーションして的確な意思決定を支援する。

 昨今、サプライチェーンの現場では、予算管理、投資採算、市場適応などの観点からさまざまなプレッシャーがかかり、ますます要求が厳しくなっているという。例えば、緊急の大口注文を受けた場合の増産と、それに伴う優先すべき注文の選択や、設備不良が発生した場合の減産、もしくは代用ラインによる生産継続の判断など、企業の供給計画ではさまざまなシナリオが想定できる。新製品投入サイクルも驚くほど短くなっているのが現状であり、「月曜日に立てた生産・販売計画に対して、火曜日には修正すべきイベントが発生することも多々ある」という。このため、「製造業においてはより正確な供給マネジメントが欠かせないのだ」(アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 ソリューション1部 シニアディレクターの岡田行秀氏)。

Oracle Rapid Planning概要

 Oracle Rapid Planningでは、週次の供給計画から外れるような突発的なイベントが発生した場合に、複数条件に基づいた仮説検証(What ifシナリオ分析)により、供給計画の変更による結果を数分で検証。現行の販売計画へのインパクトを極小化した、迅速な供給計画の修正を実現するという。

 特徴としては、オンメモリ処理による高速なサプライチェーン計画エンジンを実装することで、瞬時の再計画を可能にしている。また、「シナリオマネジメント」の機能により、ERPのマスタデータに基づいた複数のシナリオを作成・評価して計画を修正することも可能。作成されたシナリオは保存、共有され、最終的に選定したシナリオに基づいてERPのマスタデータを更新すること(実行系への引き渡し)ができる。

 システム連携としては、同社のERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」、中堅企業向け業務アプリケーション「JD Edwards EnterpriseOne」「Oracle Advanced Planning Command Center」「Oracle Advanced Supply Chain Planning」などと連携できるよう、あらかじめ接続設定を済ませた状態で出荷。既存のSCM実行系レガシーシステムや他社のERPパッケージとの連携も可能となっている。

 なお新製品は、日本オラクルの「バリューチェーン計画ソリューション」の一環として提供される。同ソリューションには、需要予測を行う「Demantra Demand Management」、販売・オペレーション計画を行う「Demantra Real-Time Sales and Operations Planning」などがラインアップされており、新製品を加えることで、供給制約ベースの高速シミュレーションが可能になる。

 対象はもちろん製造業だが、中でもハイテク家電がメインターゲットになるという。すでにさまざまな仕組みをIT化している製造業だが、「供給マネジメントの領域はまだまだ進んでいないところ。導入していても、週次ベースの供給マネジメントであるケースが多く、それではもう間に合わないという声が実際に製造業から聞こえてきている。そういうニーズに対して、現行の仕組みと共存させる形で、Oracle Rapid Planningを導入する価値があると考えている」(同氏)と、新規導入、追加導入の両面で訴求していく意向を見せる。

 価格は最小構成で3000万円から。

バリューチェーン計画ソリューションの概要バリューチェーン計画ソリューションのラインアップ新製品でスピーディな販売&オペレーションのシミュレーションを実現





(川島 弘之)

2009/10/28 15:44