富士通、グリーンIT施策をグローバルで強化-4年間で1500万トンのCO2削減へ


 富士通株式会社は12月7日、グリーンITプロジェクト「Green Policy Innovation」をグローバルで強化すると発表した。新たにグローバル目標を設定し、2009~2012年度の4年間で累計1500万トン以上のCO2削減をめざす。

 同社は、今回の施策の背景を、「G8サミットにおいて共有された『2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を半減する目標』を達成するためには、少なくとも2020年までに排出量をピークアウトさせる必要があり、その実現には、省エネに優れた製品・サービスを、先進国や途上国を含めたグローバルへ、早期に普及させることが重要」と説明する。「ITで環境負荷低減」と「ITの環境負荷低減」の2軸で進めるGreen Policy Innovationのグローバル推進をさらに強める意向を示した。

 「ITで環境負荷低減」と「ITの環境負荷低減」で進めるGreen Policy Innovationは、2007年12月に開始。日本ではすでに2007~2008年度の2年間で累計約223万トンのCO2排出量削減に貢献したという。こうして培われた環境活動のノウハウを生かして、今後はグローバルでグリーンITの取り組みを強化。2009~2012年度の4年間で世界累計1500万トン以上のCO2削減をめざすとしている。

 具体的にグローバル推進を強化するのは、1)先進グリーンテクノロジーを適用した省エネITインフラ、2)環境配慮型データセンターによるアウトソーシングサービス、3)ユーザーの環境経営を高度化支援する環境コンサルティングなど。

 1)では、富士通研が開発した、電源装置の電力損失を低減する「窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ」をはじめ、グリーンテクノロジーの研究開発をさらに推進。製品へ積極的に適用することで、より省エネのIT機器を提供するとともに、消費電力の見える化、運用の最適化、仮想化などのミドルウェアと連携させて、省エネITインフラをグローバルに提供していく。

 2)では、小型省電力の温度・風速センサーと同社独自のアドホック通信技術による「環境監視センサーネットワーク」、局所空調システム、熱流体シミュレーション、光ファイバーを用いた「リアルタイム多点温度測定技術」など、さまざまなグリーンテクノロジーを採用した環境配慮型データセンターによるアウトソーシングサービスを日本で提供していく。また、データセンターのファシリティ・IT機器を最適化するエネルギー使用シミュレーション技術を英国から試験的に導入するほか、オーストラリアでは熱流体を考慮した最適レイアウトや再生水を使用する循環型冷却装置を導入する。

 3)では、各地域が持つコンサルタントのノウハウなどを生かし、日本やオーストラリアを中心に提供している環境コンサルティングサービスの提供拡大を図っていく。

 富士通グループでは、同プロジェクトの推進により、2020年に向けた中期環境ビジョン「Green Policy 2020」の実現をめざす方針。



(川島 弘之)

2009/12/7 13:47