才色兼備の「魅せるラボ」、ネットワンが新技術検証センターを公開
所長を務めるシステム企画グループ ナレッジセンターの諸井渡氏 |
施設全景 |
ネットワンシステムズ株式会社(以下、ネットワン)は、2009年10月にオープンしたテクニカルセンターを報道陣に公開した。データセンターにも引けを取らないほど機能面を充実させたと同時に、「魅せるラボ」をコンセプトに、内装の見栄えにもこだわったのが特長だ。今回は内部の様子を写真とともに紹介したい。
SIerとしてさまざまなソリューションを提供するネットワン。顧客のニーズを満たすために欠かせないのが技術検証で、今回のテクニカルセンターが東京で本拠地となる。所在地は東京都品川区。大井競馬場近くの倉庫内に、顧客にも開かれた「ミーティングルーム」、301本の19インチラックに7000点以上もの機器を用意した「ラボエリア」、検証作業を行う「検証エリア」を構築している。もともとは天王洲アイルの本社にあった施設だが、キャパシティー不足に陥ったため、品質管理センターとして利用していた現在の場所に移設したのだという。
役割は「各ベンダーの新製品が公表された性能を本当に備えているか確かめることだ」と、所長を務めるシステム企画グループ ナレッジセンターの諸井渡氏。製品単体の検証やマルチベンダー製品によるソリューションの検証。そのすべてをここで実施し、単純なバグから、製品仕様が日本にマッチしているかまでベンダーにフィードバックしている。また、保守会社のNSATに保守機能をバトンタッチする役目も持ち、「時には顧客の環境に強く依存する障害を、その環境を完全に再現してトラブルシューティングすることもある」というように、保守面でも重要な施設となっている。
機能面では、7000点以上の機器にリモートからでも作業できるネットワークを用意。空調、照明、電源、制御システムに至るまで徹底して省エネに配慮し、さまざまな技術を採り入れることで、PUE(エネルギー効率化指標)1.6を達成している。同時に「魅せるラボ」としてインテリアデザインにもこだわり、白を基調とした柔らかな空間を演出。それは、本社から持ってきたキャビネットを、わざわざ同じ白色に塗装するほどの芸の細かさだ。またケーブルはなるべく隠した上で、用途に応じた配色ポリシーを定めて配線するなど、「お客さまに見せても恥ずかしくない空間を心がけた」(同氏)という。
では、そのこだわりの数々を実際に見ていこう。
■顧客にも公開、プレゼンテーションルームと検証エリア
最初に目にするのは、光にの中に浮かび上がるネットワンのロゴ | 廊下は白を基調に、倉庫とは思えない洗練された装い | 顧客などと打ち合わせするプレゼンテーションルーム。正方形の照明はLEDライト |
隣にはスタッフが検証を行うエリア。ラボから機器を運び込んで検証を行う | 実際のSI案件における納品前チェックなども行うため、機密情報が漏えいしないよう、パーティションで区切られた検証ルームも用意している | 機密情報は漏れないが、中に人がいるかどうか判断できるよう、微妙な透明度を実現している。最近はスタッフが衣類をかけて目隠しするコツを覚えはじめたとか(笑) |
顧客も利用するプレゼンテーションルームはあえて仕切りを設けず、ゆったりとした空間となっている。諸井氏は「一応、つけてみただけ」と謙そんするが、照明の一部にはLEDを採用。環境にも気を配っているのが印象的だ。
■ゾーン管理されたラボエリア
次は、いよいよ7000点以上の機器が存在するラボエリアだ。これら機器をルーター、スイッチ、セキュリティ、サーバー・ストレージ、UCなど12種のカテゴリに分類してゾーン管理している。このエリアに関してはISMSを取得しており、セキュリティ対策も万全。入室前にICカード認証と事前申請による管理を行っている。ラックや空調機などが配備されているが、中には既製品をカスタマイズした特注品なども存在し、こだわりをさらに感じられる空間となっている
ラボエリアは12種のカテゴリでゾーン管理。平面図パネルにもLEDライトが採用されているが照度が足りないらしく、諸井氏は「これだけは失敗だった」と残念そうにつぶやく | 入室には、事前の申請と、権限を有したスタッフのICカードによる認証が必要 | 入ると左手にサポートセンター。ラボ内で使用するケーブルやイスなどはここで管理して貸し出し制となっている |
LANケーブルのストレート接続は灰色、クロス接続は黄色など配色に関するケーブルポリシーが定められている | 立ち並ぶラックの様子。ケーブルポリシーにより見栄えも美しい | 床積載荷重は1平方メートルあたり1.2t(通常は500kgほど)。頑丈なため、ラック荷重を分散するなどの対策は不要だったという |
各ラック背面にはパッチポートを用意 | ケーブルがセンターパッチに集約され、切り替えることで、異なるゾーン間の機器を接続できる |
分電盤も特注。ラックに色と幅を合わせ、なるべく奥行きの浅い設計にしてもらったという | 天井には照明を調節する人感センサー。10分間、人が不在だと25%の照度に抑えるなど、省エネに配慮している |
空調機はダクトで連結し、空調台数を変更せずにN+αの冗長性を確保している | 連結されたダクトから冷気を排出し、ラック前面にコールドアイルを形成。ラック内に取り込んで機器を冷却する | ラック背面に排出された暖気は、再び、空調機に吸い込まれて循環する |
現在、テクニカルセンターには10名ほどの常駐スタッフが詰めている。4週間先までの予約制を敷いているが、すでに満杯の状況。3月には環境マネジメントに関するISO 14001も取得できる見込みだ。
「きちんと検証したものしか顧客に提供しない」(同氏)、それがネットワンの信念。今回、ハイレベルな施設を訪問して、SIerとしての心構えを垣間見た気がする。今後も同社の高品質なソリューションを支えて、日夜、フル稼働していくのだろう。
2010/2/22 00:00