デル、“日本を意識した”12.1型マルチタッチ液晶搭載の堅牢タブレットPC


Dell Latitude XT2 XFR
密封型の端子保護カバーで入出力端子を保護する
Latitude XT2 XFRの特徴

 デル株式会社は2月24日、12.1型のマルチタッチ液晶を備える堅牢タブレットPC「Dell Latitude XT2 XFR」を発表した。水はねや水こぼれ、ほこりに耐える堅牢性を備え、屋外作業や工業生産現場をはじめとした、厳しい環境での使用に対応するという。価格は39万6165円からで、同日より販売を開始する。

 Latitude XT2 XFRは、既存のタブレットPC「Latitude XT2」をベースに、防滴/防じん性能などを付加した堅牢タイプのタブレットPC。CPUは超低電圧版のCore 2 Duo SU9600(1.6GHz)を搭載し、CPU、GPU、メモリ、ディスクドライブの温度を一定に保つ「QuadCool排熱管理システム」によって、マイナス23℃から60℃までの温度環境で、きちんと能力を発揮できる。

 入出力端子については、密封型の端子保護カバーによって厳重に保護するほか、キーボードは、通常のタイプに加えて、より耐久力の高いゴム張り・バックライト付きのオプション(英語キーボードのみ)も選択可能。液晶ディスプレイの衝撃保護構造も採用しており、国際電気標準委員会(IEC)の定める「IP54」規格に適合するレベルの、防じん、防湿性能を実現した。また、振動やほこり、湿度、低・高温などに対する米国軍事規格の「MIL-STD 810F」でも、13以上の項目に合致しているという。

 OSはWindows 7 Ultimate(32ビット)、Professional(32ビット/64ビット)とWindows XP Tablet PC Edition(ダウングレード権利用)から選択でき、メモリは最大5GBまでの拡張に対応。ディスクドライブは160GB HDD(5400rpm)以外に、耐衝撃性に優れた64GB SSD、フルディスク暗号化対応の128GB SSDを選べる。また、マルチタッチ液晶の表示解像度はWXGA(1280×800ドット)で、防衛用途など、手袋をして操作するニーズに対応するため、静電式に加えて感圧式も用意する予定という。さらに、ホットスワップ可能なモジュールを液晶の上部に搭載しており、WebカメラやGPSの装着を行える。

 ネットワーク機能は1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tを標準で備え、各種無線LANの搭載も可能。インターフェイスは、USB 2.0×2、USB 2.0とeSATAのコンボポート、IEEE 1394、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T、VGA、音声入出力、SDカードスロット、Express Card/54などを搭載し、オプションのポートリプリケータを装着すれば、シリアルポートも利用できる。サイズと重量は、308×239×39mm(W×D×H)、2.45kg(最小構成時)。バッテリはリチウムイオンで、4セルと6セルのバッテリに加えて、9セルのバッテリスライス(拡張バッテリ)も用意される。

 デルでは、こうしたハードウェア面での特徴に加えて、PCソリューションを広く扱うデルならではの価値を前面に出して、顧客に価値を訴求したい考え。北アジア地域 公共事業マーケティング本部 クライアントソリューションマーケティングマネージャー、垂見智真氏は、「Latitude XT2という実績のある製品をベースにしているため、数による価格メリットを出せたり、安定した共有を行えたりという点は強みだろう。他社では、一般のPCと堅牢PCのラインが別になっている場合も多いが、当社では両方とも同じように考えており、運用面やドライバの互換性が図れるし、新機能の投入もすぐ行える。OSのイメージもLatitude XT2と同じだ」と述べ、デルの強みを説明した。

 Latitudeの製品ラインに属していることから、長期的に安定した製品供給を行うという特性を引き継ぐほか、指定のミドルウェアやアプリケーションをプリインストールした状態でユーザーへ直送する「カスタムファクトリーインテグレーション(CFI)」、PCのOSイメージ作成や管理を支援するオンラインツール「Dell ImageDirect」など、これまで同ラインで提供してきたサービスは、もちろん利用可能になっている。

北アジア地域 公共事業マーケティング本部 クライアントソリューションマーケティングマネージャー、垂見智真氏Latitudeブランドの通常のPCと同様、長い製品ライフサイクルを提供。各種サービスによって統合管理を支援する

 想定する用途としては、軍事・防衛やレスキュー、フィールドサービスなど、屋外での過酷な環境下での使用から、GPS機能を生かした警察・消防・沿岸警備などにおける車両内での使用、医療・倉庫・工場などでの屋内使用まで、幅広い分野での利用を見込む。垂見氏は、「2013年には、市場規模が現在の1.8倍になるとの予測もあって、当社では、堅牢PC市場に大きなチャンスがあると思っているが、日本ならではのニーズを取り入れたのがこの製品だ」と述べ、国内での展開にも自信を示した。

北アジア地域 公共事業本部 執行役員 統括本部長の郡信一郎氏

 なおデルでは2009年初頭より、地域別だった事業構成を、対象分野ごとに再編する施策をグローバルで実施している。これについて、北アジア地域 公共事業本部 執行役員 統括本部長の郡信一郎氏は「公共事業部門だけでも、GAPやamazon.comに相当する事業規模があり、このスケールを生かして、公共分野に特化した製品を提供できるようになった。また、大学や研究機関といったお客さまは、グローバルなネットワークで情報を共有しており、お客さまをサポートする上でも有効に働いている」とし、顧客にとってもプラスに働いていると強調。

 その上で、新製品について「パトカーでの利用1つとっても、日米では車両のサイズが異なり、日本ではより小さなものが求められる。日本を意識した製品になっている」とコメントし、地域性にも十分配慮した製品を提供していくとの姿勢を示している。




(石井 一志)

2010/2/24 15:40