インテル、高い拡張性を備えたハイエンド向け8コアプロセッサ「Xeon 7500番台」
インテルXeonプロセッサ7500番台 |
同日に開催された説明会には、Xeon 7500番台のウェハが展示されていた |
インテル株式会社は3月31日、ハイエンドサーバー向けの最新プロセッサ「インテルXeonプロセッサ7500番台(以下、Xeon 7500番台)」を発表した。
Xeon 7500番台は、開発コード名「Nehalem-EX」と呼ばれていたNehalemアーキテクチャのマルチプロセッサシステム向け製品。プロセッサあたり8つのコアを搭載しており、8ソケットシステムで64コア、ハイパー・スレッディング・テクノロジーと組み合わせることで128スレッドの処理に対応しているのが特長。
パフォーマンス面では、Xeon 7400番台と比べて最大3.8倍性能向上を実現。拡張性の面でも、Xeon 7400番台が4ソケットまでの対応だったのに対して、Xeon 7500番台は8ソケットまで対応している。また、プロセッサあたり16 DIMMをサポートしており、4ソケットシステムの場合、最大1024GB(16GB DIMM×64)のメモリを搭載することも可能。
1000個受注時の価格は、Xeon X7560(8コア、2.26GHz、TDP 130W、L3キャッシュ 24MB、QPI 6.40GT/s)が33万5420円、Xeon X7550(8コア、2.00GHz、TDP 130W、L3キャッシュ 18MB、QPI 6.40GT/s)が24万7930円、Xeon E7540(6コア、2.00GHz、TDP 105W、L3キャッシュ 18MB、QPI 6.40GT/s)が17万9880円、Xeon E7530(6コア、1.86GHz、TDP 105W、L3キャッシュ 12MB、QPI 5.86GT/s)が12万6370円、Xeon E7520(4コア、1.86GHz、TDP 95W、L3キャッシュ 18MB、QPI 4.8GT/s)が7万7770円、Xeon L7555(8コア、1.86GHz、TDP 95W、L3キャッシュ 24MB、QPI 5.86GT/s)が28万6810円、Xeon X7542(6コア、2.66GHz、TDP 130W、L3キャッシュ 18MB、QPI 5.86GT/s)が17万9880円。
同時に発表された、Xeon 6500番台については、Xeon X6550(8コア、2.00GHz、TDP 130W、L3キャッシュ 18MB、QPI 6.40GT/s)が22万3580円、Xeon E6540(6コア、2.00GHz、TDP 105W、L3キャッシュ 18MB、QPI 6.40GT/s)が15万5530円、Xeon E6510(4コア、1.73GHz、TDP 105W、L3キャッシュ 12MB、QPI 4.80GT/s)が6万7590円となっている。
■歴代のXeon製品に対しても最大の飛躍、エコシステムの整備も進める
同日開催された製品説明会では、技術本部 副本部長の土岐英秋氏が、大規模向けサーバー求められる背景として、「データの爆発的な増加」「BI向けサーバー/ストレージの市場拡大」「HPC市場の拡大」の3つを紹介。そういった市場に対し、Nehalemアーキテクチャによる高性能なXeon 7500番台をリリースすることにより、より高い性能を提供するとした。
技術本部 副本部長の土岐英秋氏 | 大規模サーバーに対する需要の拡大 | Nehalemアーキテクチャによる大規模サーバー向け製品を提供する |
機能面では、前述したような性能強化が図られ、「歴代のXeon製品に対しても最大の飛躍があった」(土岐氏)ほか、搭載システムにおいても、「すでに20以上の世界新記録が出ているし、HPC性能においてもリーダーシップを発揮している」(土岐氏)とのこと。
また、QPI接続のみで8Way構成をサポートすることに加え、サードパーティ製のノードコントローラを使えば、最大256Wayまで拡張可能な高いスケーラビリティを備える。さらに、「データの保護」「可用性の向上」「計画的ダウンタイムの削減」の大きく3つの面において、20以上のRAS機能に対応し、信頼性をいっそう向上させたという。
特に、x86サーバーでは初めて「マシン・チェック・アーキテクチャ・リカバリー」機能を搭載。修復不可能なハードウェアエラーに対しても、OSによるシステムリカバリーである程度カバーできるようになったため、システムクラッシュの可能性を低減している。これについて土岐氏は、「今まではミッションクリティカル系のCPUに搭載されていた機能で、Xeon系での機能拡張はまだ第一歩ではあるものの、この拡張は大きな革新だ」と述べ、その意義を強調している。
20以上のベンチマークで世界新記録を樹立した | Xeon 7500番台の新機能 | 革新的なモジュラー式の拡張 |
2005年当時の20ラック分のサーバーを1ラックで置き換えられるという |
なお土岐氏によれば、「2005年当時の20ラック分のシングルコアXeon搭載サーバーを、現在のXeon 7500番台搭載サーバーであれば、1ラックで置き換えられるようになった」とのこと。これによって、電力を年間約90%削減し、1年以内に投資が回収できる試算が成り立つとしたほか、逆に、Xeon 7500番台搭載サーバーであれば、基幹業務向けの大規模仮想マシンや、複数階層にわたるシステム統合など、従来活用できなかった新たな用途でも対応できるようになっていると、その価値を説明している。
また、エンドユーザーがこうした機能向上によるさまざまな恩恵を受けるためには、ソフトウェアベンダーなどとのエコシステム対応が必須になることから、インテルではその整備に、積極的に取り組む考え。基幹業務領域での幅広い適応を可能にすべく、協業を進めていくとしている。
2010/3/31 11:00