NEC、2008年度連結決算は3000億円規模の赤字に-2009年度は黒字化目指す


2008年度通期実績
2008年度セグメント別実績
代表取締役執行役員社長の矢野薫氏

 日本電気株式会社は5月12日、2008年度連結決算を発表した。売上高は前年比8.7%減の4兆2156億円、営業損益は前年比1630億円減のマイナス62億円、経常損益は前年比2054億円減のマイナス932億円、当期純損益は前年比3193億円減のマイナス2966億円と大幅な減益となった。

 IT/NWソリューション事業は、売上高が前年比5.0%減の2兆7239億円、営業利益は前年比358億円減の1249億円。このうち、ITサービス/SI分野の売上高は、前年比1.0%減の8245億円。ITプロダクト分野の売上高は、前年比5.4%減の5740億円。ネットワークシステム分野の売上高は、前年比7.5%減の1兆46億円。 社会インフラ分野の売上高は、前年比5.9%減の3208億円。

 各分野とも、景気悪化に伴う投資減速の影響を受けて減収。また、ITプロダクト分野では企業向けPCやサーバーの出荷減の影響を、ネットワークシステム分野では国内移動通信業者によるシステム投資一巡の影響も大きく響いた。

 モバイル/パーソナルソリューション事業は、売上高が前年比7.2%減の8103億円、営業損益は311億円悪化のマイナス79億円。このうち、モバイルターミナル分野の売上高は、前年比2.3%増の3481億円。パーソナルソリューション分野の売上高は、前年比13.2%減の4622億円。

 モバイルターミナル分野は、携帯電話機の市場全体が大幅に縮小した中で、商品力強化により出荷台数は510万台と伸ばし増収に。一方、パーソナルソリューション分野は、国内企業の投資抑制や海外PCの環境悪化により大幅な減収となった。

 エレクトロンデバイス事業は、売上高が前年比21.4%減の6528億円、営業損益は867億円悪化のマイナス793億円。そのうち、半導体分野の売上高は、前年比20.5%減の5465億円、電子部品その他は前年比25.8%減の1063億円。半導体は、汎用製品や自動車・産業機器向けなどの売上が減少したことで大幅な減収となっている。

 2009年度の通期業績見通しは、売上高は前年比11.5%減の3兆7300億円、営業利益は前年比1062億円増の1000億円、経常利益は前年比1532億円増の600億円、当期純利益は前年比3066億円増の100億円を見込む。

 同社代表取締役執行役員社長の矢野薫氏は、「当期損失が2966億円となってしまったことをお詫びしたい」と謝罪。「聖域のない構造改革を実行し、2009年度も厳しい見通しではあるが、当期利益の黒字化を実現する」と、2009年度の黒字化を必達目標に掲げた。


2009年度の事業運営方針2009年度通期業績予想2009年度セグメント別業績予想

IT/NWソリューション事業の2009年度業績予想モバイル/パーソナルソリューション事業の2009年度業績予想エレクトロンデバイス事業の2009年度業績予想

 矢野氏は、「当期利益の黒字化を実現するためにも、筋肉質の収益構造への転換と、成長に向けた事業構造の転換、この2点にフォーカスして取り組む。また、自らコントロール可能な固定費削減を実行し、当期利益の黒字化という目標を達成する」と、あらゆる費用の徹底削減と不採算事業の撲滅により黒字化を実現すると強調した。

 1月に発表した経営改革の進ちょくについては、「事業構造改革では、NECエレクトロニクスのルネサステクノロジと事業統合の協議を開始するなど、事業ポートフォリオの見直しを行っている。また、環境・エネルギー事業については、自動車向けリチウムイオン電池事業に短期的には注力する。中長期的には、非自動車向け事業の創出を行っていく」と説明。収益構造改革に関しては、あらゆる費用の徹底した削減により、固定費2700億円の削減を行う。

 NECエレクトロニクスのルネサステクノロジとの事業統合により、半導体事業から撤退する形になるが、「半導体事業への思い入れがないといえば、嘘になる。しかし、事業を継続することで、縮小均衡となってはいけない。勝てる体制にすることが重要だ。今回の経営統合を必ず実現し、日本の半導体事業が世界の中で勝ち組に残れるようにしたい」(矢野氏)と述べた。

 矢野氏は、「事業構造改革と収益構造改革を実現することで、2009年度の業績予想を必達する。市場の信頼を取り戻すべく全力で取り組んでいく」とした。


事業構造改革の進ちょく収益構造改革の進ちょく





(福浦 一広)

2009/5/13 00:00