ポリコム、ビデオ会議システムのエントリー版-高品質・低価格で中小企業へ訴求


米Polycom ビデオ・ソリューションズ・グループ プロダクト・マーケティング・マネージャのBob Knauf氏
Polycom HDX 6000パッケージ一式
Polycom QDX 6000パッケージ一式

 ポリコムジャパン株式会社(ポリコム)は7月8日、ビデオ会議システムのエントリーモデルとして、HD対応モデル「Polycom HDX 6000」と、SD対応の低コストモデル「同 QDX 6000」の2シリーズを発表した。同日より販売開始する。発表会では、米Polycom ビデオ・ソリューションズ・グループ プロダクト・マーケティング・マネージャのBob Knauf氏が、テキサス州オースティンの自宅からビデオ会議を使ってプレゼンを行った。

 両シリーズは、中小企業を念頭に置いたビデオ会議システム。「ビデオ会議システムは次第に普及しはじめ、日本でも数百拠点の事例や中小企業での導入も出てきている。それに伴い、低価格化も進んでいるのだが、一方で中小企業にはやはりコストを壁と感じるところも多い」(Knauf氏)ことから、高性能・高品質を保ちつつ、中小企業に必要な機能だけを搭載することで低コスト化を実現したのが、新製品の特徴という。

HDに対応したエントリーモデル「Polycom HDX 6000」

 Polycom HDX 6000は、既存のHDXシリーズのエントリーに位置付けられる製品。832Kbps~2Mbpsの通信帯域、720p/30fpsのHD映像に対応する。エントリーとはいえ、ハイエンドモデルと同じソフトプラットフォームで設計されており、「Polycom CMA」ビデオ会議管理ソリューションともシームレスに統合可能。大規模なビデオコミュニケーションへの拡張性を備える。1台では4~6名の会議を想定する。

 「Microsoft Office Communications Server 2007(以下、OCS 2007)」をはじめとするユニファイドコミュニケーション(UC)に対応するのも特徴。OCS 2007サーバーにクライアント登録が可能なほか、アバイアやシスコなどの主要なUC環境をサポートしている。

 製品構成としては本体のほか、EagleEye HDカメラと360度集音可能なマイクアレイ、リモコンなどを同梱。HDMI出力に対応するため、1本のケーブルで簡単にHDディスプレイと接続できる。価格は83万円(税別)、8月中旬ごろの出荷予定。

DVD並みのSD画質で会議できる「Polycom QDX 6000」

 Polycom QDX 6000は、256Kbps~4Mbpsの幅広い帯域で480p/30fpsのSD画質に対応。「簡単にいえば、DVD並みの画質を実現する」(同社)という。HDXシリーズの下位に位置付けられながらも、インターフェイスを豊富に備え、最大5つの映像ソース(カメラ、PC、ドキュメントカメラ、DVDプレーヤー)に対応。デュアルモニタにも対応し、人物映像とコンテンツを同時に2つのスクリーンに表示できる。

 製品構成としては本体のほか、EagleEye QDXカメラ、マイク×2、リモコンなどを同梱。価格は57万8000円(税別)、7月末ごろの出荷予定。

高品質を保ちつつ、機能制限で低コスト化

 両シリーズともに、高音質を実現する「Polycom Siren 22」技術を継承。22KHzの超広帯域音声で、ささやき声から迫力ある音楽まで忠実に再現するという。Polycom HDX 6000とPolycom QDX 6000を比較した場合、同じ音声規格とプロトコルを採用してはいるが、やはりPolycom HDX 6000の方がHD対応の最新チップセットを搭載する分だけ、音声の迫力には勝る。が、いずれも「Polycom StereoSurround」によるステレオ音声に対応するため、左右のスピーカから相手の位置を体感できる臨場感を備えている。

 会議で重要なコンテンツ共有としては、両シリーズとも「Polycom People+Content IP」に対応。有線・無線LAN経由でPCと接続して、高解像度コンテンツの共有が可能となっている。Polycom QDX 6000ならデュアルモニタに人物映像とコンテンツをそれぞれ表示することが可能だが、両シリーズともに「デュアルモニタエミュレーション」をサポートするため、1台のディスプレイに両方を同時表示することも可能。スペースや予算の都合でディスプレイを1台しか設置できない場合でも、問題なくPowerPoint資料などを示しながらの会議が行える。

 通信時の映像・音声の乱れを修復する「Lost Packet Recovery(LPR)」にも対応。Knauf氏によれば「インターネット越しである以上、混雑が生じればどうしてもパケットロスは発生してしまう」という。それが一定範囲を超えると映像や音声の乱れにつながるのだが、LPRでは10%のパケットロスまで自動で修復して、映像や音声の品質を維持してくれる。「当社の全製品に搭載された機能だが、今回のエントリーモデルでも削ることなく搭載した」(同氏)とのこと。

 また、セットアップの容易さも特徴で、「カメラ、モニタ、マイク、LANケーブル、電源ケーブルの順につないでいく5つのステップで設定が可能」(ポリコム)とアピールしている。

 一方、低コスト化に向けて削った機能としては、「内蔵多地点機能」や「入出力の数」を挙げる。さらに、同社では720p/60fpsや1080p/30fpsに対応する製品もラインアップするが、720p/30fpsに制限した点も「低コスト化を実現したポイント」(同社)とのこと。

 日本では、海外拠点との会議、国内の打ち合わせ、社内教育、在宅勤務など活用例も広がりつつある。その中でも「各店舗にそれほど高性能ではない端末をばらまいてビデオネットワーク化する事例や、大学・大学院間での連携、国際シンポジウムなどでの利用がトレンドとなっている」(同社)と紹介。さらに普及を促進するため、代理店をいま以上に充実にし、「ビデオ会議に漠然と二の足を踏む中小企業に訴求していく」(同社)としている。

新製品の位置付けデュアルモニタエミュレーションで1画面に人物映像とコンテンツを表示した例





(川島 弘之)

2009/7/8 15:50