「iSCSIの敵は固定観念、問題はすべて克服済み」-デル

EqualLogic製品とサーバー仮想化の親和性もアピール

米Dell デルストレージ シニアマネージャのトラヴィス・ヴィジル氏
サーバー仮想化には、ストレージ仮想化の併用が効果的という

 「iSCSIは元来抱えていた問題をすべて克服している。唯一残っている問題は、従来抱かれていた固定観念だ」―。デル株式会社は8月24日、ストレージ戦略に関するプレス向けの説明会を開催。米Dell デルストレージ シニアマネージャのトラヴィス・ヴィジル氏が、主にEqualLogic製品についての戦略を解説した。

 現在では、サーバー仮想化はさまざまな機会に検討されるようになっており、導入企業も年々増加。中規模企業のうち70%が、2015年までに全サーバーの仮想化を計画しているほどだという。また、ストレージの中ではiSCSIの市場が拡大。2009年には、FC(ファイバチャネル)の市場はワールドワイドで11%縮小する見通しなのに対し、iSCSI市場は30%の伸びが予想されている。

 ヴィジル氏によれば、この2つのトレンドはまったく無関係なことではなく、サーバー仮想化がiSCSIの伸びをけん引しているという。それは、iSCSIは複数のストレージアレイにまたがる仮想IPアドレスを設定するだけで、簡単にグループ化ができるという特性を持つため。特に、iSCSIベースでストレージ仮想化を実現するEqualLogic製品であれば、仮想サーバーと仮想ストレージプールを柔軟に結びつけられるので、サーバー仮想化技術を採用するユーザーにとっては、非常に運用しやすい環境を提供できるというのだ。

 さらに、サーバー仮想化を導入するユーザーへのメリットを提供するため、サーバー仮想化ソフトの管理UIからEqualLogic製品を管理する機能が、すでに複数の仮想化製品の管理ツールに実装済み。VMwareの管理ツールからは、スナップショット、マルチパス、非同期レプリケーションといった3つの重要な機能が利用可能なほか、Hyper-VとXenServerの管理ツールでも、スナップショットをすでに利用できるという。

 あわせて、コントローラ部とストレージ部が1つの筐体に同居するEqualLogic製品では、「購入したコントローラ部によって上限が定まってしまう通常のストレージと異なり、筐体を増やすだけで、性能と容量を線形に増やすことができる」(ヴィジル氏)点もメリット。また、x86サーバーベースのストレージ仮想化製品を提供する競合他社と異なり、「最適化された専用筐体を用いることから、競合の3倍のIOPS性能を発揮できるという検証結果もあるし、競合製品では3つのノードが必要だった可用性を、EqualLogic製品は1つの筐体で実現できる。加えて、複数の世代のハードウェアを組み合わせて利用可能だ」とのこと。また、1つの仮想化ストレージプールを管理すればいい容易な運用性といった特徴から、FC SANと比べて運用コストを約75%削減できるとした。

 なおヴィジル氏は、iSCSIならびにEqualLogic製品では、性能面や信頼性の面でもまったく不安がないことを強調する。「iSCSIはパフォーマンスが低いという固定概念を持たされているが、10Gigabit Ethernetの世界が到来する中で、それは間違っていることが実証された。EqualLogic製品では競合と比べて高い可用性を実現しているし、同様の8Gbps FC構成と比較して、最大で71%、調達コストを削減できる点も強み」と述べたヴィジル氏は、iSCSIのパフォーマンスがFCoEやFCよりもむしろ優れているという自社での検証結果を示し、iSCSI採用をためらう理由はないとアピールしている。

専用ハードウェアベースのEqualLogic製品のメリットiSCSIの不安点とされていたパフォーマンスの問題は解決したという





(石井 一志)

2009/8/24 14:58