アダプテック、Intel SSDをリードキャッシュに利用する「MaxIQ SSD Caching」


MaxIQ SSD Caching Performance Solution Kit
MaxIQ SSD Cachingの概要
アジアリージョンマーケティング部長、若山卓也氏

 アダプテックジャパン株式会社(以下、アダプテック)は9月10日、SSDを用いてHDDのリード性能を向上させるソリューション「MaxIQ SSD Caching Performance Solution Kit」(以下、MaxIQ SSD Caching)を発表した。同社のテストによれば、アプリケーションから見たリードIOPSを最大5倍に増加させられるという。

 MaxIQ SSD Cachingは、ランダムリード性能に優れるSSDを利用し、HDD単体ないしはHDDアレイのリード性能を向上させるソリューション。HDDは、シーケンシャルリードではそれなりのパフォーマンスを発揮できるものの、その構造上、ランダムリードはかなり落ちてしまう。MaxIQ SSD Cachingは、「SSDをリードキャッシュに使うことでこの欠点をカバーする」(アジアリージョンマーケティング部長、若山卓也氏)ソリューションとして提供される。

 具体的には、RAIDコントローラカードにキャッシュ用のSSD(最大4台まで)を接続し、そこに読み出し頻度の高いデータを格納する仕組み。アプリケーションから読み出し要求があった場合に、HDDではなく高速なランダムリード性能を持つSSDからデータを読み出すことで、リード速度を大幅に向上させるという。書き込み処理はSSDにも行われるものの、通常と同様HDDにも行われるので、SSD内のデータ保護は不要とのこと。アプリケーションやサーバーからは通常のHDDと同様に見えるため、アプリケーションなどの改修は必要なく、透過的に利用できる。

 若山氏によれば、「ランダムリードが多く発生するデータベースでの利用や、フロントエンドのWebサーバーでの利用が効果的」とのことで、主にデータセンターでの利用を想定する。現在のデータセンターでは、初期コストもさることながら、消費電力、冷却、スペースといった問題に苦慮しているとのこと。若山氏は、「MaxIQ SSD Cachingを利用すると、HDDを多数並べたりサーバーを増設したりせずに、手軽に性能を向上できるので、こうした課題に対しても効果がある。すでに当社のRAIDコントローラカードを利用しているデータセンターは多く、そうしたところはSSDの追加だけで手軽に導入できる」と述べ、その効果をアピールした。

 ソリューションは、読み出し頻度の高いデータを見分け、適切な読み出しを行わせるSSDキャッシングソフトと、インテル製のSLC(Single Level Cell) SSD「X-25E」、アダプテック製RAIDコントローラカードの3つから構成され、RAIDコントローラカードは、「Adaptec RAID 5シリーズ」「同 5Zシリーズ」「同 2シリーズ」の各製品が対応する。RAIDコントローラカードはファームウェアをアップグレードする必要があり、またSSDはアダプテックから提供されるOEM品以外は利用できないので注意が必要である。

 価格はオープンだが、国内では13万円台の価格が想定されている。出荷開始は9月30日の予定。

 なおアダプテックでは、「単純にRAIDを提供するのではなく、ストレージとサーバーの間に入る製品の立場を生かし、今後は、それらをつなぐコンディショニングの役割を果たしていきたい」(若山氏)考え。「MaxIQ SSD Caching も、すでに提供している省電力機能、『Adaptec RAID 5Zシリーズ』のゼロメンテナンス機能などとあわせればよりメリットがある」(同氏)としており、今後もこうした“つなぐ”機能を拡充する意向である。




(石井 一志)

2009/9/10 12:30