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iPod touchをビジネスツールとして使う


 “Wide and Shallow”、この連載では、その名のとおり広く浅く、技術や時事、トレンドの“さわり”を紹介していきたい。専門的な見地や優越については極力述べるつもりはなく、IT業界やエンタープライズに現在携わっている人、これから携わろうとする人にさまざまな“気づき”や“見方”を提供していきたい。今回は、注目を集めているiPod touch(以下、touch)について触れる。

 Appleからtouchが発表されてからもうすぐ2カ月になる。これまでになくスタイリッシュなデザインやインターフェイスが話題となっている。ビジネス視点で見ると、カレンダーや連絡先といったソフトが標準で搭載されてはいるものの、この程度の機能ではtouchをビジネスで使おうとは思わないだろう。だがそれは過去の常識になるかもしれない。


iPod touchこそ本当の第2世代iPodだ

 携帯音楽プレーヤーとして確固たる地位を築いたiPodだが、touchこそが本当の意味での第2世代iPodだと思っている。

 そう感じる理由はいくつかある。

 まずは、液晶サイズ。touchは3.5インチ、480×320ピクセルの液晶を備え、touchのほぼ全面を液晶が占めている。今までのiPodとはまったく違っている。

 次に、インターフェイス。2001年にiPodが初めて発表されたとき、われわれは音楽プレーヤーの使い方の概念を崩され、今まで見たことのない円形のコントローラ「スクロールホイール」を使って操作する楽しさを手に入れた。

 しかし6年が経過した今、touchはiPodがiPodたりえた特徴をばっさりと捨てた。その代わり、次代のインターフェイスとして指先を活用することとなった。

 最後にソフトウェア環境。touchには今までのiPodにはなかった、ソフトウェア実行環境が搭載された。簡単に言えば、Appleではないサードパーティが作成したアプリケーションをインストールし、実行できる可能性が秘められている、ということだ。


iPhone、iPod touch向け開発環境が提供される

 Appleのスティーブ・ジョブスは、iPhoneおよびtouch向けのSDK(ソフトウェア開発キット)を2008年2月に提供することを発表した(ここで触れられているiPhoneへの対応はtouchにも適用される)。

 Apple Hot Newsからジョブスの言葉を引用すると、こうだ。

Let me just say it: We want native third party applications on the iPhone, and we plan to have an SDK in developers’ hands in February. We are excited about creating a vibrant third party developer community around the iPhone and enabling hundreds of new applications for our users. With our revolutionary multi-touch interface, powerful hardware and advanced software architecture, we believe we have created the best mobile platform ever for developers.

はっきり告げよう。われわれはiPhoneにサードパーティ製ネイティブなアプリケーションを載せたい。そのためのSDK(ソフトウェア開発キット)を2月に提供する予定だ。われわれは優れたサードパーティの開発者が数百ものiPhone用アプリケーションをわれわれのユーザーに提供していることを喜んでいる。マルチタッチ・高性能なハードウェアと先進的なソフトウェアアーキテクチャを持つAppleのiPhoneは、開発者にとって最高のモバイル開発プラットフォームであると確信している。

 コンシューマに圧倒的な支持を得ていながら閉鎖されたプラットフォームだったiPod(正確には、touchとiPhone)がわれわれユーザーや開発者に開放されるというのだ。しかも4カ月以内に。さまざまなアプリケーションが世界中で開発・提供されていくことだろう。それを導入することでさまざまな方向へtouchが広がりを見せるだろう。そこで、私が注目したいのがビジネス用途だ。


iPod touchをビジネスツールに

 touchにはビジネスツールとしても使用できるソフトとして、カレンダー(スケジュール帳)や連絡先(アドレス帳)、Webブラウザといったソフトが標準で搭載されている。しかし現状では、メールソフトやToDoリスト、メモ帳(テキストエディタも含む)すら提供されていない。これらがないtouchは、スケジュール帳やアドレス帳を備える昔ながらの携帯電話と特に変わらないことになってしまう。

 逆に言えば、SDKの公開により、これらのソフトが提供される可能性があるといえる。

 実際、すでにtouchをビジネスツールにしうる「iJailBreak」というソフトが公開されている。ここでは詳しくは触れないが、これを利用することで、さまざまなアプリケーションが利用できるようになる。

 下の画像を見ていただきたいが、iPodの流れとはまったく異なるVNCやFinder、Termといったアプリケーションが確認できるだろう。



 実際のアプリケーション稼働画面はこれらだ。



 iJailBreakにより、ToDoリスト、メール、スケジュール、テキストエディタなどの追加アプリケーションをtouchで利用できるようになった。表計算ソフトはまだないようだが、プレゼンテーションソフトは代用が可能だ。

 といっても、touchに用意されているスライドショー機能を利用するという方法だ。作成したプレゼンテーションのデータファイルの1枚1枚(スライド)を画像(JPGなど)として保存し、touchと同期することでプレゼンテーションは実現できる。MacのiPhotoを使えば、イベントごとに複数の画像を分類でき、プレゼンテーション単位でデータ収録も可能だ。

 touch上で写真をスライドショーとして扱い、プレゼンテーションを行うアドバンテージとしては、縦でも横でも表示でき、指を使ってスライド送りやスライド(写真)の拡大縮小が自由にできることだ。その上、PCと違い瞬時に起動でき、立ち話や移動中といったさまざまなシーンでフルに活躍させられる。Free SpotやHot Spotといった公衆無線LAN環境と組み合わせれば、外出先でメールの送受信からWeb閲覧も可能だ。


iPod touchのビジネス転用を真剣に検討するチャンスは目前

 一部ハックツールも交えて、ビジネス利用の可能性に触れてみた。いかがだろうか。単なる携帯音楽プレーヤーとの見方が少し変わったのではないだろうか。

 もちろんSDKが公開されたからといって、すぐにビジネスツールが出るとは限らない。不確定要素がまだまだある状態なので、これからどうなるかはわからないが、検討をしても無駄にならないだろう。

 まずはtouchを1台入手し、その操作性に慣れることから始めてみるのはどうだろうか。



( もり いっけ )
2007/10/31 09:00

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