日本HP、NonStopベースのリホストソリューション-「ガラパゴス状態」の解消を目指す
執行役員 ESSトランスフォーメーション担当統括本部長の松本芳武氏 |
ソリューションの概要 |
日本HPでは、段階的な移行を推奨している |
日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は6月4日、無停止型サーバー「HP Integrity NonStopサーバー」(以下、NonStop)を利用した新たなメインフレーム移行(MFA)ソリューションを発表した。東京システムハウス株式会社の協力のもと、同社のマイグレーション専用ミドルウェア「AJTOOL」の活用によって実現している。
日本HPでは年初から、「ITコストの透明性」の重要さを訴え、それを実現するための施策を数多く行ってきた。その中で、オープン系の製品については一定の成果を上げてきたというが、執行役員 ESSトランスフォーメーション担当統括本部長の松本芳武氏は、「ハードウェア、ソフトウェア、導入、保守などにわたって透明度の低いメインフレームが最大の障害だ」と指摘する。IDC Japanのデータによれば、2008年の国内サーバー市場においてメインフレームは売上高ベースで26.1%を占めているが、ワールドワイドでは一般的に10%程度にすぎないとのことで、松本氏はこの状況を「日本だけが特異なガラパゴス状態だ」と表現。透明性の確保のために、この領域の改善が必要だと強くアピールする。
日本HP自体も以前から、MFAソリューションの提供には力を入れてきており、HP-UXを中心に、Linux、Windowsなどへの移行を行ってきている。しかし、「システムの信頼性」「コスト削減の実現性」「移行の実現性」などに疑念を抱くメインフレームユーザーはまだ多く、より有効なソリューションの提供が求められていたという。
今回、日本HPが提供するマイグレーションソリューションでは、「35年に及ぶ実績と絶対的信頼性を持つ」(エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 NonStopサーバー事業部長の浅野勉氏)NonStopとAJTOOLの組み合わせにより、これまで提供できていなかった、NonStopを活用したリホストを実現する。リホストとは、メインフレーム上で稼働させているアプリケーションを、オープンシステム上で動くようにする手法。ビジネスロジックを変更しないため、顧客の資産をそのまま活用できるほか、リライトやリビルドなどほかの手法に比べて、低コスト、短期間での移行が可能になる。
日本HPでは、まずはリホストによるマイグレーションを行い、その後に必要に応じて、アプリケーションやプロセスの再構築を伴うリビルドを実施するといった段階的なアプローチを推奨しており、今回、NonStopでもリホストが行えるようになったことから、高い信頼性を保ったままでのオープン移行を実現した。NonStopはすでに、メインフレームとの業務連携や業務の切り出しで多数の導入実績があるほか、メインフレームが利用しているものも含め、多種多様な通信環境をサポートする点も強み。「足回り(通信環境)の変更リスクやコストは、場合によっては本体よりも高いが、NonStopでは足回りはそのままにして移行することもでき、ここでも段階的な移行をサポートする」(浅野氏)という。
一方で、コスト削減や移行の実現性という点については、各種アセスメントを提供。技術的にオープン環境へ置き換えが可能なことや、またどの程度の初期コストがかかり、どの程度のコストメリットがあるかを概算で示す無償サービス、さらに詳細な分析を行う有償サービスなどで、顧客の不安を払しょくするとした。
NonStopの持つ“絶対的な”信頼性 | NonStopとAJTOOLの活用によるメリット | AJTOOLの実装イメージ |
2009/6/4 16:56