「エッジでも100GbEをサポート」、Juniperが新モジュラーカード3モデルを発表

わずか2Uで80Gbpsの処理が可能な小型イーサネットアクセスルータも

新製品のモジュラーカード3モデル
MX80の概要

 米Juniper Networks(以下、Juniper)は10月29日(米国時間)、最新の100Gigabit Ethernet(GbE)に対応したものなど、イーサネットアクセスルータ「MXシリーズ」向けのモジュラーカード(DPC)3モデルを発表した。また同時に、エントリー領域を拡充する最新機種「MX80」も発表されている。提供は12月より順次開始される予定。

 MXシリーズは、Ethernetサービスの提供に特化した通信事業者向けルータ。M/Tシリーズのアーキテクチャを継承しながら、レイヤ2処理専用の「Ethernet Services Engine」を搭載し、きめ細かなスイッチング機能と、キャリアグレードのEthernetルーティング機能を提供できる。

 新たに提供されるモジュラーカードは、10GbE×16を備えた「16×10GbE Card」、カード上で構成を変更可能な「Universal Edge Card」、100GbEに対応する「Modular 100GbE」の3モデル。このうち16×10GbE Cardは、10GbEポートのうち12ポート分がワイヤスピード、残りの4ポート分がベストエフォートとなっており、状況に応じて利用できる。またUniversal Edge Cardは、10GbE×4、10GbE×2、GbE×20、GbE×40の4つのオプションカード(MIC)が用意され、最大2つのオプションカードを必要に応じて選択できる柔軟性が特徴。Modular 100GbEは、エッジ向けの製品としてははじめて、100GbEをサポートするカードで、10GbE×20、ないしは10GbE×2も搭載することが可能だ。

 一方のMX80は、高さがわずか3.5インチ、2Uサイズの筐体でありながら、最大80Gbpsのスループット性能を備えている小型ルータ。Universal Edge Cardと同様、2つのオプションカードを搭載でき、インターフェイスを柔軟に変更可能な特徴を持つ。用途としては、MTU(マルチテナントユニット)/モバイルのアグリゲーションなどが想定されており、Juniper マーケティング担当副社長のウェンディ・カーティー氏は、「非常に小さいルータであるが、これで80Gbpsのスループットを持っており、劇的にスペース、電力消費、冷却といった要素を改善できる」と製品をアピールした。

 提供開始時期は、16×10GbE Cardが12月、Universal Edge CardとMX80が2010年上半期、Modular 100GbEが2010年下半期の予定となっている。

Junos Trio

 なお、今回の新製品はすべて、同日に発表された最新のネットワークチップセット「Junos Trio」を採用している。Junos Trioは、他社製品の2~4倍にあたる、1秒あたり最大2.6TBの処理速度を実現したほか、1GBあたりの消費電力も約半分に抑えられているため、効率的な処理を行えるとのこと。より多くのサブスクライバ(加入者)、サービス、帯域幅を動的に調整可能な「3Dスケーリング」技術に対応し、さまざまな処理に活用できるとしている。

 またカーティー氏は、3Dスケーリング技術に対応したMXシリーズ全体について競合ベンダーと製品を比較し、2.6Tbps処理可能なハイエンドのMX960で4台、MX80では8台の同クラス製品がないと、ここまでのスループットが発揮できないと説明。さらにROIは、「もっとも高い他社製品と比べても6倍の効果があるし、TCOでも1/2~1/4、電力では90%低い、といった価値を提供できる」と述べ、優位性を強調していた。

マーケティング担当副社長のウェンディ・カーティー氏MXシリーズを競合製品と比較した場合の性能アドバンテージMX80の試作品(右)と、競合製品に見立てた8つの箱を並べ、8倍の性能差をアピールしていた





(石井 一志)

2009/10/30 09:00