マイクロソフトがデスクトップ仮想化を強化、ライセンス改訂や機能追加を実施

シトリックスと共同で市場を開拓、VMware製品からの乗り換えキャンペーンも

 マイクロソフト株式会社は4月26日、デスクトップ仮想化戦略を強化すると発表した。その一環として、デスクトップ仮想化の一方式であるVDI(Virtual Desktop Infrastructure)で、ライセンス価格の引き下げを行ったほか、シトリックス・システム・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)との共同施策を展開する。

 マイクロソフト コマーシャルWindows本部 本部長の中川哲氏によれば、同社のデスクトップ仮想化戦略では、「すべてを網羅した製品ラインアップ」「高い親和性と統合管理」「高いコスト競争力」を3つの柱として事業を推進しているという。

マイクロソフト コマーシャルWindows本部 本部長の中川哲氏デスクトップ仮想化戦略の三本柱
デスクトップ仮想化の種類
MED-Vのメリット

 一口にデスクトップ仮想化といっても、クライアントからサーバーへリモート接続をしてOSやアプリケーションを使用する「リモート」形態、クライアントPCに仮想化技術を組み込んで使用する「ローカル」形態があり、そのそれぞれについて、OS、アプリケーションの仮想化技術が提供されている。マイクロソフトでは、「すべてを網羅した製品ラインアップ」という方針にのっとり、このすべてをカバーすることで、顧客のニーズに最大限応えられるようにしている。

 今回はこのうち、「ローカル」形態の仮想OS配信技術である、「Microsoft Enterprise Desktop Virtualization(MED-V)」と、「ローカル」形態のアプリケーション配信技術「Microsoft Application Virtualization(App-V)」において、最新版で提供される機能強化を説明した。前者の「MED-V 1.0 SP1」では、英語・西欧言語環境に加えて日本語環境をサポートしたほか、Windows 7(32ビット/64ビット)に対応。後者の「App-V 4.6」では、64ビットアプリケーションの仮想化と、64ビットクライアントOSのフルサポートに対応した。また、VDI環境向けのアプリケーションイメージの共有機能によって、ディスク容量の節約を行えるようになっている。

 マイクロソフト コマーシャルWindows本部 シニアプロダクトマネージャーの原田英典氏は、「ホスト」形態のOS仮想化技術として「XP Mode」を引き合いに出した上で、「XP Modeは高い期待を寄せられていたが、企業で導入する場合は、ドメインの参加やPC名の問題など、さまざまな設定をしないといけなかったため、大規模環境への展開に課題があった」と、その問題点を指摘。しかし、MED-Vを使うことにより、迅速な導入・展開と、きちんとした集中管理環境が提供できると、そのメリットを強調していた。

 なお、マイクロソフトのボリュームライセンスプログラムにおいて、Windows OSのソフトウェアアシュアランス(SA、保守契約に相当)契約者は、その特典として、オプションパック「Microsoft Desktop Optimization Pack for SA(MDOP)」を購入でき、MED-V、App-VもMDOPによって利用が可能になる。今回提供されるMED-V 1.0 SP1、App-V 4.6は、MDOPの最新版「MDOP 2010 Refresh」の一部として、4月2日より提供が開始されている。


ライセンスを一部削減し、シンプルさとコスト削減を提供

 また、「高いコスト競争力」の面では、VDIで必要となるライセンスを一部削減した。VDIは非常に多くのテクノロジーがかかわっており、実際に使うとなると、多くのライセンスを購入する必要があった。

 今回は、少しでもそれを単純化すべく、クライアント側で必要だった「Virtual Enterprise Centralized Desktop(VECD) for SA」(WindowsのSA保有ユーザー向け)、「VECD」(SAを持たないユーザー向け)を6月末で廃止。7月から、WindowsのSAを保有するユーザーは、追加のライセンスを購入することなくVDIが利用できるようになるため、約3割のコスト削減を実現するという。一方、SAを持たないユーザーに対しては、1割程度割安な「Windows Virtual Desktop Access(VDA)」ライセンスが新設されている。「ライセンスをシンプルにするとともに、大きな追加投資をする必要もなくしている」(中川氏)。

従来必要だったライセンスの一覧7月より、VECD fo SAを廃止し、SA特典として提供を開始する
マイクロソフトとシトリックスの協業により、最適なソリューションを提供できるという
シトリックス マーケティング本部 プロダクトマーケティング 担当部長の竹内裕治氏

 さらに、「高い親和性と統合管理」の面では、自社の統合管理ツール「System Center」製品群による統合管理を可能にするほか、シトリックスとの連携にも対応する。中川氏はこれについて、「(シトリックスのデスクトップ仮想化製品)『XenDesktop』を利用すると、1つのイメージを複数で共用でき、ユーザー数分のイメージを用意する必要がなくなるなど、さらなるメリットが提供可能になる」と、そのメリットを説明。また、App-Vなどのアプリケーション仮想化技術を併用することにより、OS、アプリケーション、データといった各要素を切り離し、管理性をさらに向上させることが可能とした。

 シトリックス側でも、マーケティング本部 プロダクトマーケティング 担当部長の竹内裕治氏が、マイクロソフトとの長い関係を強調した上で、Windowsとの親和性が高く、統合されたVDIソリューションを提供できる点をアピール。4月26日から12月末まで、両社共同でVDIキャンペーンを行うことを発表した。それによれば、Microsoft Core CAL/Enterprise CALを持つユーザーに対して、VDIに必要なライセンスをパッケージした「Microsoft VDI Suite」とXenDesktopを、250ユーザーまでは半額の3916円(参考価格)で提供。また、同じくMicrosoft Core CAL/Enterprise CALを持ち、かつ競合のVDI製品であるVMware View/VDMを使っている企業に対しては、500ユーザーまで無償でライセンスを提供する乗り換えキャンペーンも実施する。

 竹内氏は、競合との比較において、「他社の上位エディションと比べて安価に提供できるだけでなく、機能面においても、当社とマイクロソフトのソリューションだけが提供できる機能がある」と主張。優位性を訴えていた。両社では、共通して製品を扱っているパートナーも多いことから、「販売パートナーと手を取り合って市場を作っていく」(竹内氏)としている。

今回提供される2つのキャンペーン競合の上位エディションでは1ライセンスあたり1万9950円(シトリックス試算)/年かかるのに対し、両社のソリューションでは8856円/年で提供できるという





(石井 一志)

2010/4/26 15:15