「3セグメント戦略でユーザーニーズを反映、オープン性も提供する」-米Brocade
Brocade IPネットワークビジネスユニット エンタープライズ&データセンター 製品マネジメント担当ディレクターのアメド・アブデルハリム氏。奥に見えるのは新製品「ServerIron ADX」 |
SANスイッチのベンダーとして知られていた米Brocade Communications Systems(以下、Brocade)は2008年12月に、米Foundry Networks(以下、Foundry)を買収。Ethernetのソリューションを自社のポートフォリオに加えて、新生Brocadeとしてビジネスを開始している。今回は、Interop Tokyo 2009にあわせて来日した、Brocade IPネットワークビジネスユニット エンタープライズ&データセンター 製品マネジメント担当ディレクターのアメド・アブデルハリム氏に、Brocadeの新しいネットワーク戦略について話を聞いた。同氏は、合併前のFoundryでネットワークビジネスに深くかかわっていた人物である。
新生Brocadeでは、製品の適用分野を、超高性能・高品質が求められる「データセンター」、柔軟性・低コスト・高機能が求められる「エンタープライズ・キャンパス」、拡張性・超高性能が求められる「サービスプロバイダ」の3セグメントに分け、それぞれのニーズを的確にくみ取った製品を提供する方針を打ち出している。
こうした戦略について、アブデルハリム氏は「このようなセグメントは旧Foundryの時代から存在はしていたが、異なる事業領域を手掛けていたBrocadeとFoundryの合併で包括的な製品ラインアップがそろったことで、ビジョンに磨きをかかったものだ」と述べ、合併の成果であるとする。そして、ユーザーからの声についても、「新生Brocadeだけが提供できるものだということもあって、この戦略についてはとてもポジティブな反応が返ってきている」との現状を紹介した。
Interop Tokyo 2009にあわせて発表された3製品も、こうした方針に沿ったもので、10Gbeスイッチ「TurboIron 24X」はデータセンター、「FastIron CXシリーズ」はエンタープライズ・キャンパス、「ServerIron ADXシリーズ」はサービスプロバイダのセグメントを対象に、それぞれのニーズを組み込んで提供される。これらはいずれも旧Foundry製品の高電力効率を継承しているほか、例えばエンタープライズ・キャンパス向けのFastIron CXシリーズでは、高出力型PoEである「PoE+」をサポート。同分野で導入が進むIEEE 802.11n無線LANアクセスポイントやネットワークカメラなどが必要とする、高出力のEthernet給電に対応できるように設計された。
また次世代の技術としてBrocadeが展開しているConverged Enhanced Ethernet(CEE)については、今後、特にデータセンターセグメントではキーとなるソリューションだとする。まずは、CNA(統合ネットワークアダプタ)とトップオブラックスイッチによる、サーバーのインターフェイス統合から適用が始まっているが、アブデルハリム氏は、「現状のアクセスレイヤから、もっと上位のアグリゲーションレイヤの方までを含めて、役割の拡大が期待されている。となると、アップリンクのインターフェイスもCEE対応になるべきだし、ストレージもCEE対応新たな機器が必要になる」と今後の方向性についてコメント。「CEEでのインターフェイス収束により、データセンターの中での大きなコスト削減が可能になるだろう」と話した。
ただし、3つのセグメントに分け、それぞれのニーズをくみ取っているといっても、根幹の思想については共通しているという。アブデルハリム氏は「当社では包括的なラインアップを持っていることに加えて、もっとも市場で優れた製品を提供できる点も強みだと思っている。すなわち、高性能で、高い効率性を持ち、オープンな製品を提供できること」と、その考えを説明。その上で、「特にオープンという点は重視しており、強調したいこと。包括的なポートフォリオがあるからといっても、当社製品だけを使うようにお客さまをロックすることは考えておらず、選択肢を提供することが重要だ」という点を強調し、ブロケードでは顧客の投資の保護にも力を入れていると述べた。
「Brocadeではグローバルなプロフェッショナルサービスの部門を持っており、コンサルティングやシステム管理ソリューションなどを提供できるし、また当社ではIBMと強固なパートナーシップによって、エンドユーザーにターンキーのソリューションを提供しているが、これらは旧Foundryではなかったこと。これらも新生ブロケードの価値といえるだろう」(アブデルハリム氏)。
2009/6/12 16:39