2010年は「LotusLive」を推進、日本IBMのコラボレーション戦略

パートナー支援策も豊富に展開

ソフトウェア事業 Lotus事業部長の三浦美穂氏

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は2月25日、2010年のLotus事業戦略説明会を開催した。

 ソフトウェア事業 Lotus事業部長の三浦美穂氏は、2009年を「製品群を拡張した年」と振り返る。1月にはHDD容量の削減・CPUの有効活用でTCOを削減可能にしたほか、Webインターフェイスの容易な実装やEclipseへの対応を図り、Webとの親和性を向上した「Lotus Notes/Domino 8.5」をリリース。電子メール、Web会議、SNS、コラボレーションなどのアプリケーションをWeb経由で利用するクラウドサービス「LotusLive」や、企業向けソーシャルソフト「Lotus Connections 2.5」、コミュニケーションツール「Lotus Sametime Unified Telephony」なども矢継ぎ早に展開し、オンプレミス製品・クラウド製品ともにラインアップの充実を図った。

 その上で2010年は「よりスマートなコラボレーション・働き方の推進」「パブリッククラウドサービス『IBM LotusLive』の推進」「ビジネスパートナーとの協業強化」の3つの方針を掲げる。

Lotusラインアップ2010年の3つの方針
Lotus Notes/Domino Advanced Collaboration Bundleキャンペーンの内容

 1つ目の「よりスマートなコラボレーション・働き方の推進」では、メールや電話では不可能な「Collaboration 2.0」を実現するため、Lotus製品群でさまざまなキャンペーンや特別ライセンスを用意した。

 まず、Dominoとそれ以外の製品の併用を促進する「Lotus Notes/Domino Advanced Collaboration Bundleキャンペーン」を実施。例えば、「Domino Enterprise」新規保守契約ユーザーにライセンスを45%オフで提供し、同時にリアルタイム・コラボレーション・プラットフォーム「Lotus Sametime」を40%オフで、チーム・コラボレーション・ツール「Lotus Quickr」を48%オフで提供する。「Domino Enterprise契約と同時に他製品も安価に購入できることで、製品の併用を促進するのが狙いだ」(三浦氏)。

 また、Lotusクライアント製品(Lotus Notes/Sametime/Quickr/Connectionsなど)をユーザー単位で契約したユーザー向けに、クラウド型の「LotusLive Engage/Connections/Meetings/iNotes」を低価格で提供。クラウドサービスの推進も図る。例えば、コラボレーション・ツールのLotusLive Engageでは、通常6580円/月のところを1430円/月と大幅にプライスダウンする。

LotusLiveをパートナーサービスとのつなぎとしてAPIを公開

 クラウド推進は、2つ目の「パブリッククラウドサービス『IBM LotusLive』の推進」でも各種施策が用意され、主にパートナー支援策を強化するという。現状、メール・Web会議・IM・ファイル共有・タスク管理などはオンプレミスで利用されているケースも多い。一方、LotusLiveには付加価値のパートナーサービスが各社から用意される予定だ。そこで日本IBMでは、LotusLiveをオンプレミスとパートナーサービスをつなぐ統合プラットフォームと位置付け、両社をつなぎやすくするLotusLive APIを7月以降公開するという。

 さらにパートナーに向けて、1月にはLotusLive Engage/Meetingsの検証用無償アカウントを用意。6月末までには、LotusLive iNotesも同様に用意する予定で、パートナーとの関係強化を強く打ち出している。

パートナーが日本IBM製品を「知る」ためのプログラム
「作る」ためのソリューション開発無償技術支援など

 それが3つ目の「ビジネスパートナーとの協業強化」に表れており、パートナーがLotusを容易に「知る」「使う」「作る」「プロモーションする」ことが可能なさまざまなプログラムを用意。

 「知る」では、新製品をいち早く理解できる場として「早わかり&深わかりセミナー」を実施。最短30分のセットアップでグループウェアが利用できるアプライアンス製品「Lotus Foundations」などを教材に、約30分で製品紹介を行う。またLotus製品を実機で体験できる場として「さわってみようLotus製品」といったセッションも行う予定。

 「使う」では、アプリケーション開発者向けに「技術者向けハンズオンセミナー」を実施。Lotus Domino 8.5の新機能「Xpages」などをテーマに第1四半期より順次開催していく。また、「ソリューション開発無償技術支援プログラム」も実施。開発に必要な日本IBM製のソフトを貸し出し、同社のソフトウェア開発研究所に所属するエンジニアが、ロードマップや技術支援の開示、オンサイトでの開発環境構築支援、仕様策定のための技術ディスカッション、サンプルAPI使用方法の指南などを実施する。

 「プロモーション」では、コラボレーション最前線で活躍する担当者が語る「ここだけの話」として「コラDEここ」というコラムをWebサイト上で配信。日本IBMの担当者やパートナーの担当者が“顔が見える個人”として、コラボレーションツールを利用するユーザーに向けて実現できることを紹介していく。また、LotusLive Meetingsを活用して、パートナーに定期的に情報を届ける「Lotusチャンネル」も実施。4月8日の初回を皮切りに、毎月第二木曜日に、問い合わせや意見をシェアする場として開催していく予定。

 2010年のLotus事業は、Lotus Notes/Dominoと他製品との併用促進(他製品の価値訴求)、LotusLiveの促進、パートナー支援の強化を軸に、企業のコラボレーション革新を引き続きサポートしていく方針だ。




(川島 弘之)

2010/2/25 16:49