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ビジネス専門SNSで“運命の出会い”を-PowerLink


 SNS-Japan株式会社は、ビジネス専門のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)である「PowerLink」が、サービス開始より半年で、メンバー間の新規取引総額が3500万円を突破したと、8月22日に発表した。同社では今後本格的なマーケティングを開始し、会員数を350人(取材時)から大幅に増加させ、サービスの拡大や海外展開も視野に入れているという。

 そもそもSNSというと、同じ趣味の人を見つけたり、友達同士で近況を伝えたりすることが目的の個人向けサービスとして認知されており、先日会員数が100万人を突破した「mixi」などが有名だ。だから「ビジネス専門」といわれてもピンとこないかもしれない。そこで同社代表取締役社長兼CEOのジェフリー L.ハンフリー氏に、PowerLinkのサービス内容や、その目的などを聞いた。


ビジネスも「出会い」がなくては始まらない

SNS-Japan株式会社 代表取締役社長兼CEO ジェフリー L.ハンフリー氏

PowerLinkログイン後の画面(実際と異なる場合があります)
 「私は日本で37年間住み、営業や社長業をしてきたが、特に国内で多くの割合を占める中小企業において、自分たちができることを人に知ってもらうことが、非常に難しいと感じてきた」とハンフリー氏は話す。たとえどんなにすばらしい商品や技術、アイデアがあったとしても、人のつながりがなくてはビジネスは始まらない。大手企業ならすでにブランドが確立し、それを理解してくれる人を比較的容易に集めることができることもあるが、そうでないところは、商売する相手やビジネスパートナーを探すのに苦労することが多い。

 PowerLinkはSNSの機能を生かし、ビジネス相手の“出会い”をサポートする有料の会員制サイトだ。サービスを利用するには全機能が利用できる「トゥルー会員(入会金5,250円、年会費は10,500円)」、またはメールなど一部機能が制限される「ビジター会員(入会金1,050円、年会費無料)」いずれかの登録が必要となる。利用者間では本名のほか、所属している会社や業種、自己PRなどが基本的に公開されている(ただし住所や電話番号などの個人情報は非公開)。会費と本名の公開という敷居を置くことで、悪質なユーザーの利用を防いでいる。ちなみに個人向けのSNSは会員の招待がなければ参加できないが、PowerLinkは会費を払えば誰でも入会できる。

 また、ビジネス専門とはいえ、入会は法人ではなく個人での入会となる。これには2つの理由があり、(1)1つの会社の中でも人により目的や必要とするものが違う、(2)個人であれば転職をした場合でもPowerLinkで築いた人脈を継続することができる、からだそうだ。

 PowerLinkでビジネス相手を見つけるのには、基本的に検索機能を使う。検索条件としては、ユーザー登録時に入力する必要のある業種や地域などの基本情報や、当人に関連するキーワード、チェックボックス式の「目的フィルター」などがあり、条件を絞り込むことが可能だ。条件に合う人が見つかったら、PowerLink内専用のメールを送る(一般のメールアドレスは公開されていない。また、スパム対策のため一度に送ることができるのは5通まで)。相手から快い返答が得られれば、それぞれで話を進めていくことになる。

 逆にこうしたメールを受けたときに断る場合、定型文を使った「拒否」ができる。「手間をかけずシステマチックにお断りができるような機能を用意した。ほかにもこうした機能を取り入れ、極力無駄な手間を省くことができるようにする」(ハンフリー氏)。


検索する際、さまざまな項目から条件を設定できる 条件にあう人がいた場合、その人の公開されているプロフィールを確認できる

「信頼」を形にするユニークな機能

 しかし、入会しているメンバーが皆ビジネスを目的としているとはいえ、突然「○○にご興味はありませんか?」とのメールが来ても、そう簡単に信用して受け入れることはないといえる。そこでPowerLinkでは、人と人とのつながりで階層構造を設け、相手が信頼できる人かどうかの判断材料にする機能がある。

 PowerLink内では、自分と直接の友達などかかわりのある人同士がリンクしあうことができ、自分から見てその人が「第1階層」となる。そしてその友達の友達が「第2階層」といった具合につながっており「友人の友人は信頼できる友人になる」というコンセプトのもと、第4階層までが「マイネットワーク」となり、何人がつながっているかわかる仕組みとなっている。そして検索やメールを誰からでも受け付ける「オープン」と、マイネットワークからのみ受け付ける「クローズド」から選択できるようになっている。ただし、ハンフリー氏によると「報告されているうち7~8割が、直接会ったことのない人同士でビジネスを成立させており、登録ユーザーの多くが“オープン”」だという。

 さらにユニークなのが、メールを送る際に、間に友人を経由することで信頼性を上げることができる機能だ。例えばAさんから見て第2階層にあたるCさんにビジネスメールを送る際、第1階層にいてAさんCさん両方とつながっているBさんに「Cさんに私を紹介してください」という旨のメールをCさんに読んでもらう内容と一緒に送る。Bさんはそれを受け取ると「Aさんは信頼できる人だから話を聞いてあげて」といったコメントを加えてCさんに送ることができるというものだ(逆にBさんの判断でメールを止めることもできる)。

 そして、ビジネスを成立させるなどした場合、相手のプロフィールに「この人は信頼できる人です」といった推薦文を入れることもできる。ビジネスにおいて最も重要とされる「信頼」度を表現することができるというわけだ。


自分から見て1~4階層にどれくらいの人数がいるか確認できる 「友人の友人」にメールする場合、まず友人に自分を紹介してもらうと相手になってもらえる可能性が高まる ビジネスが成立した後などに推薦状を書いてもらえると、プロフィールに表示され、信頼度を高めることができる

 こうしたシステムを活用することで、交流会での名刺交換や飛び込み営業などよりはるかに効率的に人脈を形成し、ビジネスにつなようというのがPowerLinkだ。これまで成立した例としては、損害保険の契約、企業への投資案件、ソフトウェア開発の受諾などが報告されているという。

 ハンフリー氏はPowerLinkの利用にあたって「人と人がつながってビジネスになるというのは、ずっと前からあることで、PowerLinkはその過程にSNSという技術を使ったもの。入会したからビジネスができるようになるというわけではなく、積極的にアプローチしていかなくては何も始まらない」と語っている。



URL
  SNS-Japan株式会社
  http://www.snsj.jp/
  PowerLink
  http://www.powerlink.jp/


( 朝夷 剛士 )
2005/09/09 08:54

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