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航空機内インターネット接続サービス体験レポート
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「スピードはまずまず。しかし思わぬハードルも…」
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昨今、さまざまな場所で公衆無線LANサービスが始まっているが、特に長距離移動をする機会が多い人にとっては、「飛行機で移動中にインターネットに接続できればどんなに便利だろう」と思われる方も多いのではないだろうか。
そんな期待に応え、各国に航空機を提供するボーイング社は、機内インターネット接続サービス「Connexion by Boeing(以下、CBB)」を2004年より一般向け提供を開始。2005年10月現在で8航空会社の指定便にて利用でき、日本を発着するものでは主に成田空港と欧米を結ぶ比較的フライト時間の長い便を中心にサービスを提供している。
今回、JAL(日本航空)の成田-ニューヨーク便にてこのサービスを体験できたので、レポートしたい。
■ 専用ページからユーザー登録
CBBは、航空機と米国カリフォニア州にあるデータセンターとを通信衛星を使って結ぶ回線を通じてインターネットに接続するが、ユーザーから見れば機内に接続された無線LANアクセスポイント(AP)に接続さえすれば、公衆無線LANサービスと同様の感覚で利用できるサービスだ。ただし一般のWebサイト閲覧やメールの送受信、会社などへのVPN接続は有料で、ユーザー登録が必要だ。
登録は搭乗する航空会社ではなく、CBBの専用サイトにて行う。搭乗してから登録することも可能だが、あらかじめ手続きを済ませておいた方が、当日スムーズに利用できるのは言うまでもない。登録するサイトは日本語ページも用意されているので、特に手間取ることはないだろう。
接続料金の決済は基本的にクレジットカードを利用する。別途カード番号の登録フォームがあるので、そこに入力し、カード利用の承認がおりれば準備完了だ。このほか、一部プロバイダーのローミングサービスや航空会社のマイレージを利用できるメニューもあるので、必要に応じて確認しておきたい。
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航空機内インターネット接続の接続イメージ
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Connexion by Boeingのサイト
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■ 機内には複数のAP、料金は定額制と従量制から選択
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安定飛行に入ると、いくつものAPが起動していることが確認できる
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さて、実際に航空機に乗り、早速インターネット接続を試してみたいところだが、搭乗経験のあるかたはご存じのとおり、航空機が離陸し安定飛行に移るまで(シートベルト着用サインが消えるまで)の間は、PCはおろか、音楽プレーヤーや携帯ゲーム機など一切の電子機器を利用することはできない。この間は当然APも動作していない。シートには機内インターネット接続のペーパーマニュアルが用意されているので、まずこれを確認しておくといいだろう。
シートベルト着用サインが消えてしばらくすると、いくつものAPを見つけることができる。APの実機は客室からは確認できないところに設置されているようだが、今回搭乗した便では、IEEE 802.11b・SSID:Connexion1・WEP:無効のAPをいくつも確認できた。座席の位置によって接続の安定度が大きく変わる心配はないようだ。ただし、公衆無線LANと同様にファイル共有などは切っておくべきこと、さらに無線区間の通信が暗号化されていないことは頭に入れておきたい。
APに接続し、Webブラウザを立ち上げると、機内専用サイトのトップページに接続される。ここから「機内ページ」へ進むと、発着案内や空港情報、ゲームなどの専用コンテンツを無料で利用できる。一般のWebサイトやメールなどを利用するには「インターネット」へ進む。するとログインやユーザー登録できるページが現れるので、すでに登録済みの場合はIDとパスワードを入力、支払い方法を選択してログインする。
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座席からはどこにAPが設置されているかわからない
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機内にはいくつものAPがありルーターを通じて衛星と通信する
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機内のポータルページ
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最後に料金コースを選択する。この便で用意されていたのはフライト中無制限に接続できる定額制(29.95ドル)の「Internet Flight」と、最初の60分が定額(9.95ドル)以降1分0.25ドルの従量課金制となる「Internet Minutes」の2種類。通常のブロードバンドと同様に制限なく利用したいならInternet Flightを選んだ方が安心だろうが、メールチェックなどあらかじめ決めておいたことを済ますだけならInternet Minutesの方が安上がりになる場合もある。
■ 高速移動中の接続としては満足度が高い
料金コースを選んだら準備は完了だ。あとは通常と同じようにWebサイトの閲覧やメールの送受信ができる。会社などへのVPN接続も問題なく行えた。気になる接続速度だが、いくつかのスピードテストサイトで試したところ、だいたいダウンロードスピードは100~150kbps、アップロードは50~60kbps前後を計測、体感的にはISDNと同等かやや速い感覚であった。高速移動中ということもあってか、たまにレスポンスが滞ったり1~2分ほど接続不可能になるなど不安定な場面もあった。
speed.rbbtoday.comスピードテスト結果
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1回目
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2回目
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3回目
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ダウンロード |
99kbps
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145kbps
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154kbps
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アップロード |
60kbps
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57kbps
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54kbps
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Webブラウザやメール以外のツールでは、ビジネスでも利用頻度が高まっているIM(Instant Messaging)アプリケーションとして、Windows MessengerとGoogle Talkを試してみたが、文字ベースのやりとりは問題なく行えた。今回、音声通信やファイルの送受信についてはテストできなかったが、先にINTERNET Watchに掲載されたレポートによるところでは、たびたびのパケットロスが原因でうまく行えないようだ。
総じて、一般のブロードバンド回線や公衆無線LANと比較して一部制約や不安定な面も見られるが、高速移動中のインターネット接続としてはかなり満足度が高いものと思われる。
■ インターネット接続できる時間は意外と少ない?
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ビジネスクラスのシートにはPC用電源が備わっているため、安心といえば安心
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利用してみて筆者が個人的に感じたことだが、フライト中にインターネット接続できる時間は事前に思っていたよりも少なかった。どういうことかというと、シートベルト着用サインが消えて間もなくすると機内食が運ばれてきて食事の時間となる。この間は備え付けのデスクは食器に占領されてPCを置くことができず、インターネット接続どころではなくなってしまう。
また、食事が終わりしばらくすると、機内の照明が落とされる。読書灯を使って明かりを確保することもできるが、暗い中で画面を見続けると普段より目の疲れが激しく、長時間続けるとだんだん苦痛になってくる。帰りのフライトなどでは身体的な疲れもたまっており、眠くなってしまうこともある。照明が戻ると、また機内食が運ばれてきて、食事が終わると間もなく目的地付近までたどり着き、着陸態勢に入るためPCの利用は禁止となる。
「フライト中ずっと仕事ができれば」と期待しても、実際にそれほどはかどらせることはなかなか難しいといえそうだ。また、ファーストクラス・ビジネスクラスではシートにコンセントが用意されているため電源を確保できるが、エコノミークラスではこれがないため、長時間駆動に備えてセカンドバッテリーを用意したくなる。しかし、PCによってはこれを必要とする機会なく目的地に着いてしまうかもしれない。
今回のフライトでは、約12時間の飛行中のほとんどをインターネットに接続してバリバリ仕事しよう(?)と意気込んでいたが、実際には3時間前後しかつないでいなかった。次回利用する機会があるなら、料金が会社もちなら迷わず定額制のInternet Flightを選ぶが、自腹の場合はこうした機内事情を踏まえると、1時間定額+従量制のInternet Minutesで節約することを選ぶだろう。
■ URL
Connexion by Boeing
http://www.connexionbyboeing.com/index.cfm?p=cbb.home&l=ja.JP&ec=&cfaq=cs&e=
関連記事:飛行機でインターネット!「Connexion by Boeing」試用レポート(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2005/03/10/6796.html
関連記事:JAL、機内インターネット接続サービス「JAL SkyOnline」の体験イベント(BroadBand Watch)
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/7577.html
( 朝夷 剛士 )
2005/10/14 09:00
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