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「Windowsが稼働するサンのシンクライアント」、江東区が本格導入


Excelが稼働するSun Ray

江東区のネットワークシステム概略
 東京都江東区は、サン・マイクロシステムズ株式会社(以下、サン)のシンクライアント端末「Sun Ray Ultra Thin Client(以下、Sun Ray)」を、事務系システムに導入した。地方自治体によるSun Rayの導入は高知県大正町に次いで2つ目となるが、大都市の本格的な事例として今後注目を浴びそうだ。

 Sun Rayは、ネットワークに接続することを前提に、端末自体にはストレージを持たない製品である。そのため、データやアプリケーション、設定といった情報は、すべてサーバー側で集中管理する仕組みとなっている。

 今回導入されたSun Rayは20台で、1台のサーバーに接続されている。サーバーには「Tarantella Secure Global Desktop」(以下、Tarantella)を導入し、Sun Ray上でWindows、およびそのアプリケーションを利用できるのが大きな特徴だ。なお、Tarantellaはもともと独立ベンダーの製品だったが、米Sunが5月に買収した。

 江東区は、インターネットに接続する事務系システムと、区民の個人情報を扱う基幹系システムの2種類のシステムを構築している。情報のセキュリティを維持するため、これらのシステムは物理的に独立しており、ネットワークも完全に切り離されている。

 Sun Rayが導入された事務系システムは、メールやスケジュール管理機能を利用できるグループウェアとして、NECの「StarOffice 21」と、ジャパンシステムが構築した財務会計システムが稼動している。この事務系システムは、区役所内だけでなく、出張所、学校、図書館といった約200の出先機関でも利用されている。出先機関との接続インフラには、東京ベイネットワークのCATV網を利用し、VPNで接続されている。


江東区 政策経営部情報システム課IT推進担当係長 高山聡氏
 江東区 政策経営部 情報システム課 IT推進担当係長の高山聡氏は、Sun Rayを導入した理由について「セキュリティの向上、運用管理負担の軽減、既存環境へのシームレスな導入が可能」であったことを挙げている。

 シンクライアント化によってデータをサーバーで一元管理し、セキュリティレベルを向上させる方法は、多くの企業や組織から注目を集めている。クライアント側にストレージが存在しないため、特に情報漏えいに対する物理的なセキュリティが向上する。

 また、サーバー側ですべてのクライアント環境を管理できるため、出先機関のクライアントPCの設定などといったメンテナンスにかかっていた負担を軽減することができる。システム移行のイニシャルコストは必要となるものの、長い目で見た場合のトータルコストは、従来のWindows PC環境に比べて大幅に削減できるという。

 一方、Sun RayはJava Desktop Systemを利用することでWindowsライクなデスクトップ環境を利用できるにもかかわらず、コストをかけてWindowsを利用できるようにした。高山氏は「職員がすべてパワーユーザーというわけではないので、既存の環境と使用感の異なる環境は構築できなかった」と話す。しかし「WindowsやOfficeがなければ、ライセンスコストをかなり抑えることができたのに」と苦笑を交えながら語る。

 Sun RayはICカードによってユーザーを識別する。江東区のSun Rayは電源投入後カードを挿入すると数秒でWindowsが起動し、カードを抜けば瞬時にログイン前の画面に戻る。作業中にICカードを抜くと、作業状態がサーバーに記憶され、別のSun Rayに挿入するとカードを抜いたときと同じ状態の画面が表示される。区役所外の施設にSun Rayを導入すれば、モバイルPCを持ち歩かなくても出先で作業の続きをすることが可能となる。


端末にカードを挿すとWindowsのログイン画面が表示され、IDとパスワードを入力してログインできる。 処理により若干もたつくところもあるが、通常のWindows PCと同じアプリケーションを利用できる。インターネットにも接続可能 カードを抜くと瞬時にWindowsから抜ける。再びカードを挿すと抜いた時点の状態から作業を継続できる

 事務系システムには現在1700台のWindows PCが接続されており、3000人ほどのユーザーが利用している。Tarantellaによって、Windowsをシンクライアント端末上で利用できることから、これらもSun Rayに切り替えていくという。

 また江東区では、2006年度から文書管理システム、電子決裁システム、シングルサインオンが可能な職員ポータルシステムが稼動する予定となっており、これらの利用環境も順次Sun Rayに移行するとのことだ。さらに将来的には、基幹システムでもSun Rayによるシンクライアント化が可能ではないかと考えている。



URL
  江東区
  http://www.city.koto.lg.jp/
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/
  プレスリリース
  http://jp.sun.com/company/Press/release/2005/1101.html

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( 北原 静香 )
2005/12/16 00:02

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