注目は高いものの、現場での利用がなかなか拡大していかないソリューションのひとつがICタグを使ったソリューションだろう。流通業での商品管理のための利用や、食品の産地確認などに適しているとされ、多くの実証実験が行われているものの、現場での利用例はまだまだ少ない。
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日本橋三越本店の1階にある婦人靴売り場。一見すると普通の靴売り場とまったく変わりない
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老舗百貨店である三越では、NTTコムウェアの協力のもと、2004年から実施された「百貨店業界・アパレル業界における電子タグ実証実験」に参加した。そこで大きな成果を得たと判断した三越では、実験だけには終わらず、2005年4月に日本橋三越本店の婦人靴売り場にICタグソリューションを導入し、現在でも利用を続けている。すでに別店舗でも採用しているほか、今後は紳士靴の販売にもICタグソリューションを導入していく計画だ。
三越が実証実験で終わることなく実際の売り場での利用を決断したのは、ICタグソリューションのどういった点を評価したからなのか。また、ICタグソリューションの構築はほかのシステム構築とはどんな点に違いがあるのか。日本橋三越本店の婦人靴売り場における実例を紹介する。
■ これまで未着手だった接客業務への情報システム活用
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それぞれの商品につけられたICタグ。ICタグである旨がきちんと明記されている
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日本橋三越本店の婦人靴売り場。商品が置かれている棚には、「こちらの棚にある商品にはICタグがついております。売り場正面機械での在庫検索が可能です」と書かれたプレートが陳列されている。
ICタグ自身は商品そのものにではなく、商品につけられた値札に取り付けられ、売られている靴を手に取ってみると、次の2行を表記した札がついている。
・商品管理用の電子タグです。
・販売後回収させて頂きます。
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靴が置かれている棚にはICタグを利用していることが明記されている
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一般の人にはICタグの馴染みは薄いのか、ICタグへの質問はまだまだ少ないという
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日本橋三越本店では、2004年7月28日から2005年3月31日までの期間に実施された「百貨店業界・アパレル業界における実証実験」に参加した。
「実はもともとは、NTTコムウェアの提案のもと、独自にICタグを使ったソリューション構築を進めていた」と語るのは、三越側でICタグソリューション構築に携わった、商品本部商品システム推進部の西田雅一ゼネラルマネジャー。
2005年に100周年を迎えた三越では、さまざまな記念行事を実施したが、実は情報システムにおける100周年に向けた新しい取り組みがICタグソリューションの導入でもあった。そのため、「最初にNTTコムウェアと話を始めたのは、100周年記念行事をどうするのか検討を行っていた2002年にさかのぼる」(西田ゼネラルマネジャー)。
当初、NTTコムウェア側が提案したのは、検品管理を簡便化するためのソリューションであった。しかし、三越側は「それでは不十分」という判断を下した。
「1990年代あたりから受発注管理など、販売を後方で支援するための情報システム構築は積極的に行っていた。最初の提案内容はバックエンド業務に関わるものだったが、三越側では今後取り組むべきなのはフロントエンドの接客部分に寄与する情報システムの構築ではないかという意見があった。特に100周年の記念として取り組むのであれば、これまでまったく手がつけられてこなかった、フロントエンド業務を支援する情報システム構築に取り組むべきではないかということになった」(西田ゼネラルマネジャー)。
接客の充実―これは三越に限らず、百貨店が抱える課題でもある。バックエンドの業務を効率化するだけでは、「合理化」のもと価格競争を仕掛けてくるスーパーと差別化ができない。品ぞろえについても同様で、合理性だけを追求すれば、スーパーとの違いがなくなってしまう。
こうした状況を考えれば、情報システムを活用して接客の充実を図りたいという三越側の狙いは理解できるが、これまで接客業務に情報システムソリューションが導入されて来なかったことにも理由がある。接客は文字通り、フェイス・トゥ・フェイスで行うもの。特に百貨店がスーパーとの差別化を意識すれば、店員のスキルを上げて対面による接客を重視していくことになる。百貨店のフロントエンド業務に、情報システムの入り込むすき間を見つけるのはなかなか難しい。
■ 靴売り場が抱える特有の問題点を解決せよ!
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三越 商品本部商品システム推進部の西田雅一ゼネラルマネジャー
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しかし、売り場によっては接客の充実だけでは解決できない問題を抱えているところもあった。その代表が婦人靴売り場だ。
婦人靴は洋服に比べサイズが多い。平均的な洋服のサイズであれば、せいぜいS、M、Lくらい。それに対し靴のサイズは平均でも6サイズ用意する必要がある。
商品が入れ替わるサイクルも早く1足の靴が平均1.5カ月で入れ替わっていく。
サイズが多く、商品入れ替わりサイクルも早いとなると欠品率が高くなりがちで、婦人向け洋服の欠品率が4~8%であるのに対し、婦人靴は15~16%とほぼ倍近い欠品率になってしまう。
「百貨店が目指すのは品切れがなく、楽しい売り場の確立。接客がないインターネットでの商品購入が、在庫があることを確認してから買い物ができるのに、百貨店の婦人靴売り場では店員がバックヤードに確認しに行かなければ在庫の有無もわからない。この点を改善する必要があった」(西田ゼネラルマネジャー)。
また顧客の心理として、在庫を確認するためだけに店員にバックヤードまで確認しにいってもらうことを、「申し訳ない」と感じてしまう、ということもある。実際に調査した結果、3回確認してもらって商品がないとなると、「もう結構です」と購入をやめてしまう顧客が多いことがわかった。
三越側は、「百貨店側としては、バックエンドに確認作業をする手間よりも、販売機会をロスすることの方がデメリットなのだが…」というが、顧客には在庫確認のための待ち時間は案外ストレスとなっていたようだ。
そこで導入する新システムは、バックヤードまで出向かなくても売り場で在庫確認ができるものを目指した。
商品管理に用いられている技術としては、すでにバーコードが存在する。三越が現在利用しているICタグソリューションも、「バーコードに置き換えようと思ったら置き換えることはできる」と西田ゼネラルマネジャーは断言する。
通常、ICタグのように新しいテクノロジーを使ったシステムを導入する場合、「ほかのものでは置き換えができない」という点を追求する傾向があるが、三越では「ICタグしかできないという点を追求していくと、逆に現場では使いにくいものになる可能性があった」と指摘する。
三越がICタグソリューションを導入するのは、売り場の問題点を改善することが主眼だったからこそ、現場の使いやすさが優先されたのである。
■ 「独自性よりも他社との連携が必要」と実証実験に参加
もちろん、他店に先駆けて新しいソリューションを導入し、売り場の問題が改善されれば、他店との差別化につながる。ただし、百貨店の場合、「他店が追随して来ないために、離れ小島にぽつんといる状況になっては困る」ともいう。
百貨店が取り扱っている商品は各メーカーが生産している商品だ。将来的にメーカーを巻き込んで百貨店にICタグソリューションを定着させるという発想で考えると、日本橋三越本店の独自ソリューションにしてしまうよりも、他社を巻き込んでしまう方が利便性が高い。
そう考えた三越では、2004年7月から実施された経済産業省の実証実験「百貨店店頭における電子タグ実証実験」に参加することで、同じくこの実証実験に参加した阪急百貨店とともに、百貨店業界を代表する立場でこの実験に取り組んでいくこととした。
実際にソリューション構築を始めて見ると、ICタグにはスペックとは違う部分も出てきた。
「先ほど、バーコードにも置き換えられるという説明をしたが、『ひとつだけICタグにしかない特性がある』とスペック上ではいわれていた。それは読み取りにかかる距離。バーコードはリーダー機器をバーコードの表面に接触させなければ読み込むことができないが、ICタグは数メートル離れたところからでも読み取ることができるとされていた。百貨店のバックヤードには靴が山積みされているため、数メートル離れていても読み込めるとなれば、利便性が高いと考えたからICタグを採用することにした。ところが、実際にやってみるととても数メートル離れていては読み込むことはできなかった」(西田ゼネラルマネジャー)。
ICタグとリーダーの距離は、ICタグのサイズが大きければ数メートル離れていても読み込むことができる。しかし、日本橋三越本店では靴につける値札と同サイズの、縦60ミリ、横36ミリというサイズの札にICタグをつけているので、数メートル離れたところからデータを読み込むことはできなかった。
当初は2センチの距離でなければ読み取れないとされていたが、実際にはリーダーとICタグの距離が20センチ程度離れていてもデータの読み込みは可能だった。
■ データはICタグではなくサーバー側に置く方が効率的
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NTTコムウェア IT営業本部RFID推進室の島田智子課長
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運用の仕方としては、靴に関するデータをICタグに持たせる方法と、サーバー側にデータを置いてネットワークを介してデータをとってくる方法との2つがある。日本橋三越本店ではデータセンターのサーバーにデータを置く方法を選択した。ICタグに入っている情報は商品番号のみで、色、形などについてはサーバー側のデータベースが情報をもっている。
ネットワークを介して情報を取得するというと、情報を取得するまでに時間がかかりそうだという印象を受ける。しかし、実際にはほとんどストレスなくデータを取得できる。
それに対し、ICタグに情報を書き込むと読み取りはスムーズであっても、データを書き込む時間がかかるという問題がある。最初に紹介した通り、婦人靴は種類も多く、商品が入れ替わるサイクルも早い。日本橋三越本店の婦人靴の場合、ICタグで管理しているものだけで23ブランド、1300品番、9500点に及ぶ。これだけ大量の商品個々にデータの書き込みを行うのは、「相当、負荷が高くなる」と判断し、ICタグには必要最低限の情報しか持たせないこととした。
こうした仕様を決定するためには、三越側とNTTコムウェア側で1年以上、時間をかけて話し合いを行った。
「百貨店のフロントエンド業務は、これまでシステム化されてこなかった部分。それだけにNTTコムウェアに対しても慎重に対応してもらった」(西田ゼネラルマネジャー)。
NTTコムウェアのIT営業本部RFID推進室・島田智子課長も、システム構築自体にも1年という時間をかけ、「試行錯誤しながらシステム構築を進めていった」と振り返る。
利用しているシステムは、サーバーとしてIBMのxSeries 335 Linux MODEL(CPU:Xeon 3.06GHz、メモリ:2.5GB)、OSとしてRed Hat Enterprise Linux ES 3.0、データベースにはPostgreSQLを採用。ICタグは、ICタグのコード体系・システムの標準策定機関であるEPC Globalにのっとったものとした。
「ICタグをEPC Global標準にのっとったものとしたのは、その方が、今後、B2Bの場面で効果をあげていくと判断したから」(島田課長)だという。
ICタグ自体は、靴そのものに取り付けるのではなく、紙の札として靴につけることにした。顧客に商品を手渡す際には、ICタグは取り外す。「靴にICタグを埋め込むことも可能だが、そうなると第三者の読み取り機にデータが反応し、顧客のプライバシーが流出する危険性も考慮した」という。
ICタグに対して、将来的にデータ改ざんなどの攻撃が行われる可能性もあるため、婦人靴売り場で利用されているタグには、データ改ざんが行われないようロックをかけている。「将来まで考慮してセキュリティを保つためにはどうするかは、最も議論を重ねた部分でもある」(島田課長)。
■ 実証実験でも売り上げが増加
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店員が持っているPDAで商品を検索することも可能となっている。パソコンに比べればはるかに軽量のPDAだが、「販売員が持ち歩くには重くて、サイズが大きいと」いう声もあるそうだ
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店頭に置かれた顧客が自分で在庫チェックができる「セルフ在庫確認システム」
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在庫の有無は、店員が手で持つPDAでも確認できるが、売り場には顧客が店員に尋ねなくても、自分でサイズの有無を確認できる読み取り機器も用意した。これはICタグリーダーが内蔵された台の上に靴を置き、画面を操作していくと顧客自身が在庫の有無の確認を行えるほか、さらには、指定したサイズの商品すべてを表示する逆引き機能を備えている。逆引き機能は、今回のソリューションによって実現した新機能であり、標準的ではない足のサイズの持ち主にはありがたい機能だ。
当初は接客を重視する百貨店で、顧客自身が自分で商品在庫を検索する機能が必要なのかどうか議論もあったという。だが、顧客満足度の向上の新たな取り組みとして導入されることとなった。
通常の販売時にはそれほど利用は多くないというが、セール期間中など多くの顧客が集まる際に重宝されるといった思わぬ効用も出ている。
2004年の10月12日から12月20日まで行われた実証実験第1期では、基本仕様に関する実験を実施。取り置き商品の対応に一部混乱を起こした程度で、ほぼ問題なく実験を完了した。
2005年2月14日から2月27日までの期間行われた実証実験第2期には、標準仕様部分を中心に実証実験が行われたが、三越側にシステムへの慣れがあったこともあって、大きな成果が現れた。売り上げがアップしたのだ。
「売り上げが伸びたのは、接客時間が13分から6分へと短縮化されたことが第1点。在庫を確認しながら商談が進められるので、お奨めする靴の数が導入前の1.7足から3.1足へと増加したということが2点目。靴の場合、履いて試すことが必要となるため、店員が在庫が置いてあるバックスペースと売り場を行き来することは必要だが、それも効率化され往復率は25%に減少したというのが3点目。この3つの実現によって、売り上げ増に結びついた」(西田ゼネラルマネジャー)。
この成果を受け、日本橋三越本店の婦人靴売り場では、2005年4月26日からICタグソリューションを常設することとなった。これまで導入してきた業務のバックエンドのシステム化は、売り上げ向上につながる即効性のあるものは少なかったが、ICタグソリューションは導入後、はっきりとした効果が現れた珍しい案件となった。
三越のほかの店舗からの問い合わせも多く、8月30日には銀座店に導入されるなどすでに3店舗での導入が完了。そのほかにも3店舗が導入のための準備を進めている。
三越での実績を聞いて、当初はICタグソリューション導入に疑心暗鬼だった、メーカーや卸業者も導入の検討を始めた。インターネットによって、メーカー、卸、百貨店がつながっていけば、欠品状況が改善される。さらに、売り逃しが減り、売り上げ向上につながっていくことになるからだ。
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タグを読ませた後、色とサイズを指定すると在庫が確認できる
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セルフ在庫確認システムを利用すれば、在庫の有無だけでなく、逆引きにより特定サイズで在庫がある商品だけを検索することも可能
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似たようなイメージの商品を選び出すこともできるので、欲しい商品に在庫はなくとも、その商品に似たものを選ぶこともできる
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三越のほかの店舗への導入が決定したのもはっきりとした成果が出たからだが、「それではこれを当店のほかの売り場に横展開できるのかといえば、それはまた別の話」と西田ゼネラルマネジャーは冷静に見る。
今回のソリューションは、日本橋三越本店の婦人靴売り場にあわせて作られたアプリケーションで、「同じ婦人靴売り場であっても、効果がある店舗と、効果がない店舗があるだろう」という。西田ゼネラルマネジャーによれば、導入効果があるのは、「来店客数がある程度ある店舗」で、すべてで効果は出ないだろうという。
「ほかの売り場に同じソリューションを導入しても、やはり効果が出ないのではないか。エンジン部分は共通化するとしても、アプリケーションはそれぞれの売り場の特性にあわせたものが必要だ。おそらく、今回のソリューションをすぐ持って行けるのは、紳士靴売り場くらいでは」(西田ゼネラルマネジャー)。
■ 「コスト低下」「UHF帯の認可」「標準化」で普及拡大へ
今後のICタグソリューションの問題点はどこにあるのだろうか。西田ゼネラルマネジャーは、「ICタグのコスト低下」、「UHF帯ICタグの認可」、「標準化」という3点をキーワードとしてあげてくれた。
1つ目のキーワードであるコスト面を見ると、現状のICタグは1個あたり100円弱とそれなりの値段がする点が問題だという。「この価格では、無駄な部分にはつけることができない」(西田ゼネラルマネジャー)。三越では、「30円程度まで価格が下がれば、値札と同じ感覚で利用していくことが可能になる」そうだが、スーパーなどで日常品に採用するにはまだまだ価格が高い。ICタグは流通業界に適しているといわれながら、普及が進まない原因はコストにもあるのではないか。
コストとしては、システム構築にもコストがかけられているわけだが、西田ゼネラルマネジャーによれば、「システム構築コストについては、金額は公表していないが売り上げが伸びる仕掛けでもあり、ほぼ2年間で回収ができる」という。もちろん、この試算も婦人靴売り場に合ったアプリケーションだからこそできるもので、ほかの売り場でも同様というわけにはいかない。ただ、これまでほとんど手つかずだった流通業のフロントエンド業務を支援するソリューションが効果をあげたということは、システム導入における新しい可能性だといえる。
2つ目のキーワードであるUHF帯のICタグは、2006年4月に電波法が改正され、これまで許可されていなかったUHF帯のICタグが日本でも利用できるようになることを指している。
UHF帯のICタグは、米国のウォルマートが物流管理用に利用していることでも知られており、現行のICタグに比べ読み取り距離が長く、コスト削減も可能となるといわれている。つまり、実用化されることで1点目のキーワードであるコストにも大きな影響をもたらす見通しだ。
3点目のキーワードである標準化については、「技術的な標準よりも、百貨店業界でICタグを利用する際の手順や決めごとといったことまで標準化されていけば、もっと普及は広がっていく。例えば、三越だけでなく、他の百貨店でも同じICタグが利用されるということになれば、メーカーがICタグの取り付けを原価に織り込むようになる可能性もある。実用する際に必要な標準化は、百貨店業界で推し進めていかなければいけないことだと考えている」という。
確かにそこまで実用に合わせた標準となれば、EPC Globalでは決定できない内容となってくる。各業界で協議を重ねていく中で、それぞれの標準を作りあげる必要があるのもだというべきかもしれない。ただし、同じ業界といえどもすべての企業、人が意を同じくしているわけではないことを考えれば、この部分こそ、ICタグソリューションの拡大に最も影響が大きな部分なのかもしれない。
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在庫が置いてあるバックヤードにはところ狭しと箱に入った靴が置かれている。この中から目的の商品を探し出すだけでも、かなり時間がかかる作業だ
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ICタグが付いた札は箱の外に出ている
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わざわざ箱から出さなくてもRFIDリーダーでの読み込みが可能
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■ URL
株式会社三越
http://www.mitsukoshi.co.jp/
日本橋三越本店
http://www.mitsukoshi.co.jp/nihombashi/
エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
http://www.nttcom.co.jp/
( 三浦 優子 )
2006/02/10 00:12
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