Enterprise Watch
バックナンバー

Windows Server 2008 RC0 ファーストインプレッション


 マイクロソフト株式会社は、Windows Server 2008 RC0(Release Candidate:リリース候補版)を公開した。現在、同社サイトから、ダウンロードもしくはDVDキット(実費1050円)などの手段で入手することができる。

 早速、ダウンロードしたWindows Server 2008 RC0をインストールして、一通り使ってみたのでレポートする。


RC0で新しい機能は?

 RC0で新しい機能として追加されたのはWindows Server 2008の仮想化機能「Windows Server Virtualization(以下、WSv)」だけだ。あとは、OSのバグ修正やパフォーマンスのチューニングなどにフォーカスが当たっている。この意味でも、Windows Server 2008の開発自体は最終フェーズに入ってきたのだと思う。日本語版では、β3やJune CTPで残っていた英語のメッセージを日本語化している。ただし、ヘルプなどは、まだまだ英語が残っている。

 RC0は、WSv以外は、特に新しい機能がサポートされたというわけではない。しかし、サーバーということを考えると、安定性という面では、評価の高かったβ3をベースとしているため、さらに安定度を増しているようだ。パフォーマンスに関しては、まだチューニングするべき部分は残っているようだが、現状でも使えないわけではない。β3、June CTP、RC0とみてくると、徐々にチューニングが行われてきているように感じる。各企業のIT担当も、そろそろ本格的にWindows Server 2008のテストや導入計画を立て始めていい頃なのかもしれない。


Windows Server 2008 RC0のデスクトップ画面。特に、June CTPと変わったところはない
Windows Server 2008のバージョン番号。6.0とあるように、Windows VistaとWindows Server 2008は、姉妹関係のOSだ
サーバーに適切なハードウェアというわけではないが、これでも十分動作する。パフォーマンスに関しては、まだベンチマークを行ったわけではないが、β3から十分パフォーマンスがアップしている

AMD 960Gチップセットを使用したマザーボードを使用した。インストールはほとんど問題なく進んだが、いくつかインストールされないドライバもあった 「初期構成タスク」画面。Windows Server 2008では、インストールした直後は、ほどんどのシステム・アプリケーションがインストールされていないため、管理者自身が必要なモジュールをインストールすることになる Windows Server 2008を管理する「サーバーマネージャ」。Windows Server 2003などで、ばらばらになっていた管理プログラムを1つにまとめたもの。このコンソールだけで、管理が完結するようになっている

サーバーマネージャでは、サーバーの状態などを表示することもできる 「役割の追加ウィザード」で、サーバーの役割を追加する プログラムのメニューなど、多くの部分で日本語化が進んでいるが、ヘルプに関しては、RC0ではあまり進んでいない

サポートされたドライバが増えた

 今回は、ファーストインプレッションということで、手持ちのPCにインストールしてみた。CPUにはAMDのAthlon 64 X2 4200、AMD690Gチップセット(グラフィック内蔵)というものだ。以前のJune CTP版では、AMD690Gのサウスブリッジ「SB600」のドライバがサポートされていなかった。このため、Windows Server 2008のDVDを入れただけでは、HDDが認識できなかった。インストールの初期段階で、SB600のドライバをインストールする必要があった。

 しかし、今回のRC0では、インストール中にドライバを特に必要とすることはなかった。ただし、グラフィックドライバなどは、今回のメディアにも入っていなかったので、ATIのグラフィックドライバをインストールした。Windows Server 2008用のドライバはリリースされていなかったので、無理やりVista用のドライバをインストール。一応問題なくインストールされて、テスト期間中はトラブルなく動作していた。


Windows Server Virtualizationはどこにある?

 Windows Server 2008 RC0のリリースにおいて、最も注目されているのがWSvだ。しかし、Windows Server 2008の英語版/日本語版をインストールしてみても、どこを探してもWSvという項目はなかった。

 Windows Server 2008の開発者ブログ(http://blogs.technet.com/virtualization/default.aspx)などを調べていくと、「今回のWSvはα版。このため、仮想化に関してきちんとわかっているユーザーにだけ使ってほしい」ということで、ユーザーがいくつかのモジュールをインストールしないと、WSvがインストールできなくなっている。

 さらに、日本語版では、WSvのモジュールの日本語化の問題で、RC0ではインストールできないようだ。このため、WSvをテストしてみたいユーザーは、英語版でテストをしなければならない。マイクロソフトでは、RTM版では、日本語環境でも動作するWSvのβ版を提供する予定にしている。


Windows Server 2008 RC0の日本語版環境で、WSvをインストールしようとしてみた。C:¥Windows¥Wsvの下にあるプログラムを実行
プログラムを実行すると、エラーが表示される。RC0では、日本語環境にWSvをインストールができないので、テストするには英語環境が必要になる

 英語版でのWSvのインストール手順を簡単に説明していくと、

1. フル機能のWindows Server 2008 Enterprise x64をインストールする。

 現在のWSvは、Server Coreでは動作しない。このため、フル機能のWindows Server 2008をインストールする必要がある。

 もう一つ重要なのは、x64(64ビット版)をインストールする必要があることだ。WSvのペアレントOSには、64ビット版OSが基礎となる。このため、最初に64ビット版がないとWSvはインストールできない。


2. WSvをインストールできるように、事前にプログラムをインストールする。

 具体的には、c:\Windows\wsvにある、
 「Windows6.0-KB939853-x64」
 「Windows6.0-KB939854-x64」
という2つのプログラムを起動して、インストールする。


3. Server Managerを起動し、[Add Roles]をクリック。

 Rolesに[Windows Server Virtualization]が表示されているので、これを選択する。WSvをインストール後、再起動。


Windows Server 2008 RC0 x64 英語版をインストールして、日本語版でインストールできなかったプログラムを実行する。その後、サーバーマネージャのRoll(役割)を見てみると「Windows Server virtualization」が追加されている

4. [Start menu]→[Administration Tools]→[Windows Virtualization Management]を起動

 Windows Virtualization Managementが、仮想環境の管理コンソールとなる。後は、このコンソールで新しい仮想環境をセットして、その後OSをインストールすればいい。


仮想環境におけるネットワークカードをどうするかの設定
Windows Server Virtualizationのインストールが終了すると、システムの再起動が促される
システムを再起動すると、管理者ツールに仮想環境を管理する「Virtualization Management Console」が用意される。ここで、新たな仮想環境を作ったり、動作させたりする

おまけ-Windows Server 2008でAeroが使える?

 Windows Server 2008では、初期インストールの状態では、Windows Vistaで導入された新しいGUI「Aero」は動作しない。このため、旧来のGUIが表示されている。しかし、いくつかの機能を追加すれば、Windows Server 2008でもAero GUIが使用できるのだ。


まずは、Aeroに対応したグラフィックドライバをインストール。Windows Server 2008用のAMD690Gのグラフィックドライバはなかったため、無理やりVista x64用のドライバをインストール。やってみると問題なくインストールができた

1.サーバーマネージャを起動

2. [機能]→[機能の追加] をクリック

3. リストから、[.Net Framework 3.0の機能]の[.Net Framework 3.0]と[XPSビューア]、[デスクトップエクスペリエンス]の3つを選択して、インストール。その後、再起動


サーバーマネージャの機能の追加で、[.Net Framework 3.0][XPSビューア](.NET Framework 3.0の機能の中)、[デスクトップエクスペリエンス]をインストール

4. サーバーマネージャの[構成]→[サービス]。リストから[Themes]を選択して、「無効」を「自動」に変更して、サービスを開始する


サーバーを再起動した後に、サーバーマネージャの[サービス]を表示。ここで、[Themes]を[無効]から[自動]に変更する。あわせて、サービスも開始する

5. コントロールパネルの[個人設定]で[テーマ]を選択。テーマを[Windows Vista]に変更する。さらに、[ウィンドウの色とデザイン]で[Windows Vista]に変更する


コントロールパネルの[個人設定]で[テーマ]を[Windows Vista]に変更
[デザインの設定]を[Windows Vista]に変更。これで、Windows Server 2008でも、Aeroが動作する

いくつかのモジュールをインストールすると、Windows Server 2008でもAeroは動く
 すると、Windows Vistaで見ているようなウィンドウのフレームが透けて見えるようなGUIに変わっている。個人的には、サーバーでAeroのGUIが使えても、メリットがあるとは思えないが、Windows VistaをベースにWindows Server 2008が作られているという見本といえる機能だろう。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Windows Server 2008(日本語版)
  http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2008/
  Windows Server 2008(英語版)
  http://www.microsoft.com/windowsserver2008/


( 山本 雅史 )
2007/10/01 13:40

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.