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もう無駄金は使わない!-失敗しないERP導入術【前編】

目的を明確にすることがERP選びの第一歩

 ERPといえば、大企業を中心にその導入が進み、その認識も一般に浸透しているのではないか。統合データベースを中核に、企業の基幹業務を支援する「統合業務パッケージ」として、経営資源の効率化や企業情報伝達の迅速化などに役立ち、「業務プロセスの統合・合理化」を高いレベルで実現する情報システム、というのが主なイメージである。

 しかし、ERPパッケージをめぐる動向は、変化をみせているのが現状だ。

 ひとつはその市場動向。大企業へのERPパッケージの導入が一段落し、中堅・中小企業での導入検討が活発になっていることである。その背景は、親会社や取引先企業のERP導入による後押しのほか、ベンダー側の製品ラインアップの追加をきっかけにされる場合が多いようだ。

 もうひとつが、ERPパッケージへの意義づけが変化してきていることだ。

 これまでの大企業ニーズでは、「業務プロセスにある無駄」をどれだけ排除し、業務効率化を達成するかに主眼におかれ、場合によっては基幹業務自体を刷新していくという「全体最適化」が主目的とされていた。

 対して、中堅・中小企業向けパッケージでは、業務プロセスの必要な箇所からの改善が推奨されたり、少数の管理層でも活用しやすい管理機能が追加されたりして、投資効果にみあうパッケージが開発されてきている。

 さらに、内部統制や迅速なビジネス展開が急務とされるなか、各種情報の効率的な電子化が迫られていることや、法制上でも国際会計基準にあわせた新しい会計基準に移行することが求められていることも、導入検討の背景として大きい。

 海外製品と国産製品のほかに、従来の業務パッケージでも機能の強化・拡充をはかることで、ERPパッケージとしてとらえられる製品も登場している現状で、ERPパッケージとはなにか? その導入の必要性や検討課題について考えていきたい。


全体最適か?部分最適か?

 導入のための検討課題を精査する前に、従来型業務パッケージからERPパッケージ、さらにはスクラッチ開発までのすみわけの一長一短を整理しておきたい。

 1990年頃に登場した、「Enterprise Resource Planning System(企業資源計画)」という、経営情報を統合的に管理し、経営の効率化を図るという概念や手法を実行するために開発されたソフトウェアがERPパッケージである。

 代表的なERPベンダーであるSAPの場合、企業経営情報の「全体最適化」こそが重要なファクターで、これなくしてはERPではないというくらいのコンセプトからスタートしている。こうしたパッケージの場合、ERPパッケージを活用するのはあくまでも経営者であり、単体業務ソフトとのリレーショナリーを含めた小回りは、基本的に考えられていないのが実情だ。

 対して、規模の小さな企業向けにリリースされているのが、単体業務ソフトから発展したERPパッケージ。単体業務ソフトを拡充し統合型ERPとしての機能をもたせたもので、これが近年さかんになってきている。業務現場での使いやすさを損ねることなく、導入も簡単といった特長があるが、業務ソフトの寄せ集めといった傾向の製品である場合も多い。

 企業ごとの業務プロセスや情報システムの独自性を優先させる場合は、スクラッチ開発ということになるが、コスト面や最適化への効果といった観点からはできるだけ避けたいのが、中堅・中小企業のニーズであろう。


 そこで数年前から登場してきているのが、部分最適の接合という発想だ。企業規模や業務プロセスの独自性によって、すべてをERPパッケージ側に刷新するのではなく、残すべきところは残し、単体パッケージも連携させながらERPパッケージを活用しようという考え方だ。

 財務管理会計、人事管理、給与計算などを柱に、システム、インターフェイスを強化したアーキテクチャで設計されたERPパッケージの発想が、国産ベンダーを中心にうまれてきているのだ。


活用目的は明確に

 ERP導入のために明確にしなければいけないのがその活用目的だ。

 目的が、「業務の効率化」にあるのか「経営情報の統合」にあるのか、あるいはその両方なのかで、導入方法とコストに違いが出てくるからだ。

 メインフレームやオフコンを利用して基幹業務を行いながら、ERPの導入検討を行うという企業も多いはずだ。

 こうした場合、既存のシステムの多くを破棄することは困難かも知れない。どこからをERPが受け持つのか。または、独自システムを構築していくのか。既存システムはどのくらい残すのか、といった判断が必要となる。

 既存システムの活用とともに、将来の環境変化にもすばやく対応できるシステムであることが望ましい。5年以内で硬直化してしまうシステムではどうしようもなく、できるだけ長期にわたって使える標準的な技術をつかったシステムが理想的だ。

 その他、海外展開する企業で考えなければいけないこと、テンプレートやアドオンについて、アーキテクチャの洗練度やサポートやソリューション提案など、検討すべき課題は多い。


 次回は、ERPベンダーとして歴史が長い株式会社クレオに、ERP導入の課題と解決策を聞く。


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( 前野 公彦 )
2007/11/08 09:00

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