|
|
|
|
|
|
次世代ネットワークConverged Enhanced Ethernetとは何か?【最終回】
|
|
Fibre ChannelとFC over Ethernet
|
|
|
|
前回までは、ネットワークの統合によるメリットや、その際に候補となるConverged Enhanced Ethernet(CEE)について触れてきた。今回は、CEE上で利用するFibre Channel over Ethernet(FCoE)技術について説明する。
■ FCをCEEで統合するために必要な技術
|
【図1】FCoE利用環境のイメージ
|
ストレージ接続プロトコルであるFibre Channel(FC)をCEE上で使用するメリットは、第一回でも触れた通りのコスト低減である。アダプタやスイッチなどの機材が統合され、購入コスト、所有コストが低減される。また運用コストという面では、FCoEでも結局はFCを使用しているため管理ツールの互換性が維持されていることが挙げられる。FCではZoningなどの設定をよく行うが、これらのインターフェイスは結局のところ、FCのものがそのまま使用できる。というのも後述する通り、FCoEでも同じアドレスを使用するからである。したがって、運用はFCoEを使用してもほとんど変更の必要がないのだ。
では実際に、FCoEを使用する際に必要な拡張は何であろうか。これは、FCのリンクアップ手順を振り返ることでよくわかる。
FCでは、ポートのワード同期のあと、ファブリックへのログインという処理が発生する。これはログインサービスというFCのwell-knownサービスへのログインであり、FCでのPID(Port_ID:FCファブリック内でのフレームフォワーディングに使用されるアドレス)を確定させる手順である。また、その後、Name Serverに対して自分自身を登録したり、自分のゾーンのメンバーを検索したり、といった処理も行う。これらの手順でわかる通り、FCファブリックのwell-knownサービスがないと、FCoEデバイスも接続できない。FCoEではこれらのwell-knownサービスを行う実体を発見することが必要になる。このための発見プロトコルがFCoE Initialization Protocol(FIP)である。
CEEでは10Gigabit Ethernet(GbE)ポートとしてリンクアップしたポートがDCBXに問い合わせ、CEEファブリック属性を取得する。その後にFIPを使用してFCファブリックサービスの発見を行う。CEEファブリック内ではFCのファブリックサービスが必ずしも動作しているとは限らないため、発見にはマルチキャストを使用する。この発見プロセスでFCファブリックサービスを見つけることができれば、あとは通常のFCのファブリックログインを行うことで、PIDを得ることができるし、Name Serverにもアクセスが可能になる。CEEデバイスはMACアドレスを持つが、World Wide Name(WWN)を持たないため、WWNを自動生成する仕組みが必要になる。これはFCoEファブリックが備える必要がある新しい仕組みの1つである。
|
|
【図2】FCのリンクアップ手順
|
【図3】CEEとFCoEのリンクアップ手順
|
FCoEのフレーム構造に注目してみると、このプロトコルがいかに簡単なプロトコルであるかわかる。
図4の通り、FCoEフレームはFCを10GbEのジャンボフレームにカプセル化しただけのものである。ヘッダが増える分、効率が若干下がるが、1%強の効率低下にとどまる。これはプロトコルオーバーヘッドとしては小さいといえよう。
FCoEフレームがどのように波及していくかは図5に示す通りである。
|
|
【図4】FCoEのフレーム構造
|
【図5】FC/CEEファブリックの通信(アドレス)
|
■ 実は目新しくない新技術
|
【図6】FCoEのメリット
|
上記のように、FCoEファブリックがFCのファブリックサービスにアクセス可能なゲートウェイを実装することで、既存のFCのインフラ、デバイスへの透過的なアクセスが可能になる。これこそがFCoEの目指すものである。FCoEは、技術的に見れば単なるカプセル化に過ぎず、FIPによる発見などの手順増加を考えても、使用する上でのハードルは非常に低い。また、基盤となるインフラも、既存のFCのものがそのまま使用できるため、管理ソフトの更新や運用の変更などの新規投資は非常に小さいといえる。
|
【図7】CEE/FCoE普及までのタイムライン
|
5回の連載で扱ってきたCEEと、その活用の具体例として考えられているFCoEは、いつごろから普及するのであろうか。今までのITの歴史からは、新技術が普及するまでには米国でも2年、日本では5年ほどかかるということが推測できる。CEE/FCoE対応製品自体は、2008年末には各社から出荷されると見られており、米国では2010年くらいから普及すると考えられる。そのころにはFCは、16Gbpsという次世代の標準が取りざたされるようになっているだろうが、ネットワーク統合というメリットを考えれば、10GbpsベースのCEE/FCoEに主軸が変わってきても、まったくおかしくはない。
ブロケードはFCであろうがCEEであろうが、データへのアクセスのネットワークについては今後も主導的な役割を果たしていこうと考えている。実際、T11というFCの標準化団体のほかに、IEEE、IETFなどの団体にも参加し、提案活動を行っている。当社の考えるDataCenter Fabricアーキテクチャは、FC/CEEの接続性とデータにまつわるさまざまなインテリジェンスから構成されている。また、Foundry Networksの買収アナウンスでもわかる通り、今後はLAN/WANの分野にも進出を果たす。ぜひ、今後の動向に注目いただきたい。
■ URL
ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社
http://www.brocadejapan.com/
■ 関連記事
・ 次世代ネットワークConverged Enhanced Ethernetとは何か?【第一回】(2008/11/20)
・ 次世代ネットワークConverged Enhanced Ethernetとは何か?【第二回】(2008/11/27)
・ 次世代ネットワークConverged Enhanced Ethernetとは何か?【第三回】(2008/12/04)
・ 次世代ネットワークConverged Enhanced Ethernetとは何か?【第四回】(2008/12/11)
( ブロケードコミュニケーションズシステムズ )
2008/12/18 09:00
|
|
|
|
|