前回は、XenServerと管理ツールのXenCenterのインストールまでを紹介した。今回は、仮想マシンの作り方と基本的な使い方、そしてXenServerのパフォーマンスをテストしてみた。
■ 仮想マシンを作る
仮想マシンは[New VM]をクリックして作成する。仮想マシンの作成段階で使用するOSを指定する個所があるので、インストールするOSを事前に決めておこう。仮想マシンの作成自体は、利用するOS、CPUの数、メモリの容量、HDDの容量、ネットワークのポート数、と選択できる項目はいたってシンプル。他の仮想化ソフトを使った経験があれば、迷わずに設定できるだろう。
OSのインストールは、XenServerのドライブを使う方法と、ISOファイルを使う方法の2つが用意されている。ISOファイルを使う場合、Windowsの共有フォルダやNASなどの場所をあらかじめ指定する必要がある。今回は、XenServerのドライブを使い、Windows Server 2008(x86)をインストールした。もちろん、64ビットOSもインストールできる。インストールの所要時間はだいたい15分。物理マシン上でインストールするのと、あまり変わらないという印象を受けた。
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仮想マシンはツールバーにある[New VM]をクリックして作成する
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まずは使用するOSを選択。Linuxのほか、32ビットと64ビットのWindowsにも対応している
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仮想マシンの名称を設定
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インストール先を設定。今回はXenServerのドライブを使ってインストールを実行するので、[Physical DVD Drive]を選択
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CPUのコア数と使用するメモリ容量を設定
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HDDの容量を設定。デフォルトで表示されている数値よりも多め(少なめ)にする場合は、[Edit]をクリック
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HDD容量の変更画面
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数値が変更されたら次に進む
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使用するEthernetカードを選択。今回は1枚しか用意されていないので、既定のままで次に進む
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これで仮想マシンの設定は完了。OSのインストールディスクをXenServerのドライブにセットしているのなら、[Start VM automatically]をチェックして、[Finish]をクリック。すると仮想マシンが起動し、インストールが始まる
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インストールの状況は[Console]タブに切り替えると確認できる。独立したウィンドウにしたいときは、画面下にある[Undock]をクリックすればOK
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OSインストール後は、用意されているXenServer Toolsをインストールしておこう。インストールはコンソール画面にある[DVD Drive]からxs-tools.isoを選択するだけだ。選択すると、自動的にインストーラが起動するので、指示にしたがってインストールしよう。
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Consoleタブの上部にある[DVD Drive]から[xs-tools.iso]を選択すると、ゲストOS内でXenServer Toolsが起動する
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XenServer Toolsのインストールはメッセージにしたがって進めるだけ
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インストール後は再起動を求められる。これでXenServer Toolsのインストールは完了だ
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XenServerのドライブにインストールメディアをセットしてゲストOSをインストールする方法を紹介したが、実際に運用するときは、ISOファイルを利用するのが便利だろう。XenServerでISOファイルを利用するには、Windowsの共有フォルダ(CIFS)かUNIX/Linuxの共有フォルダ(NFS)を使う。
設定方法はシンプルだ。まずISOファイルをCIFSかNFSの共有フォルダに保存する。次に、XenCenterの[Storage]タブにある[New SR]をクリックする。すると、ISOライブラリとしてCIFSまたはNFSが選択できるので、どちらかを選んで指示にしたがって設定するだけだ。登録が終わると、仮想マシンからドライブの一覧にISOファイル名が表示されるので、選択すればマウントできる。
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ISOライブラリは[Storage]タブにある[New SR]をクリックして作成する
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共有フォルダの種類を選択する。今回はWindowsの共有フォルダを利用するので、[Windows File Sharing(CIFS)]を選択
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共有フォルダ名を指定。アクセス制限などを行っている場合、アクセス権限のあるユーザーをここで指定する
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登録が終わるとISOライブラリが一覧に表示される
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ISOライブラリに登録されているISOファイルも簡単に確認可能
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XenServerのコンソール画面で特長的なのが、ゲストOSのデスクトップ表示を画面にあわせて拡大縮小表示する点だろう。VMwareやHyper-Vの場合、ゲストOSでXGAの解像度を設定している場合、XGAしかない管理用PC上では欠けて表示されるが、XenServerでは縮小して全画面が表示されるのだ。文字がつぶれて実用にたえないくらいまで縮小しては意味がないが、柔軟に表示できるのは非常に興味深い。
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XGAのクライアント環境でゲストOSのデスクトップをXGAで表示した様子。文字はつぶれ気味だが、操作できるレベルで表示されているのがわかる
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Undockをクリックすると、ウィンドウ表示に切り替わる。ウィンドウ表示にしても縮小表示されているのがわかる
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[Scale]をオフにすると、等倍で表示される
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[This VM is currently shut down. Click here to start it.]が表示されていれば、シャットダウン完了。「シャットダウンしています」というメッセージが表示されているが、これでシャットダウンされている
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あと、VMwareやHyper-Vと異なるのが、ゲストOSのシャットダウン時のコンソールの表示方法だろう。VMwareやHyper-Vの場合、ゲストOSのシャットダウンが完了すると、設定画面など別の画面が表示されるのだが、XenServerの場合、ゲストOSのシャットダウンの状態の画面が表示されたままになっているのだ。はじめて使ったときは、シャットダウンに時間がかかっているのかと間違えたほどだ。
■ 仮想マシンのパフォーマンスは?
今回、最大6台の仮想マシンを同時に起動したときのベンチマークをとってみた。ベンチマークソフトは、CrystalMark 2004R3を使用。仮想マシンは、1CPU、1GBメモリ。OSは、Windows Server 2008 x86を使用した。なお、画面のベンチマークに関しては、今回省略している。また、各仮想マシンのベンチマークソフトは手動で起動したため、タイムラグが発生していることもお断りしておく。
仮想マシン数=1台
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WS08-001 |
WS08-002 |
WS08-003 |
WS08-004 |
WS08-005 |
WS08-006 |
ALU |
10,761 |
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FPU |
11,336 |
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MEM |
19,871 |
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HDD |
9,917 |
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仮想マシン数=2台
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WS08-001 |
WS08-002 |
WS08-003 |
WS08-004 |
WS08-005 |
WS08-006 |
ALU |
10,827 |
10,795 |
- |
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- |
- |
FPU |
11,366 |
11,344 |
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MEM |
9,515 |
9,192 |
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HDD |
3,555 |
3,884 |
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仮想マシン数=3台
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WS08-001 |
WS08-002 |
WS08-003 |
WS08-004 |
WS08-005 |
WS08-006 |
ALU |
10,832 |
10,802 |
10,787 |
- |
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- |
FPU |
11,362 |
11,357 |
11,349 |
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MEM |
8,744 |
8,440 |
17,565 |
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HDD |
1,573 |
1,943 |
2,170 |
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- |
仮想マシン数=4台
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WS08-001 |
WS08-002 |
WS08-003 |
WS08-004 |
WS08-005 |
WS08-006 |
ALU |
10,776 |
10,726 |
10,760 |
10,746 |
- |
- |
FPU |
11,411 |
11,318 |
11,335 |
11,274 |
- |
- |
MEM |
9,763 |
7,570 |
6,193 |
8,134 |
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HDD |
972 |
1092 |
1,539 |
1,177 |
- |
- |
仮想マシン数=5台
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WS08-001 |
WS08-002 |
WS08-003 |
WS08-004 |
WS08-005 |
WS08-006 |
ALU |
10,708 |
10,698 |
10,680 |
10,312 |
10,690 |
- |
FPU |
11,300 |
11,234 |
11,244 |
11,292 |
11,191 |
- |
MEM |
8,805 |
7,527 |
7,126 |
7,979 |
8,757 |
- |
HDD |
635 |
663 |
618 |
937 |
1513 |
- |
仮想マシン数=6台
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WS08-001 |
WS08-002 |
WS08-003 |
WS08-004 |
WS08-005 |
WS08-006 |
ALU |
10,661 |
10,642 |
10,602 |
10,593 |
10,615 |
10,603 |
FPU |
11,268 |
11,131 |
11,181 |
11,177 |
11,105 |
11,114 |
MEM |
9,041 |
8,753 |
7,695 |
7,871 |
7,763 |
8,032 |
HDD |
431 |
443 |
551 |
815 |
1068 |
687 |
ALU(論理演算)とFPU(浮動小数点演算)に関しては、台数が増えても大きな変化が見られなかった。クアッドコアの環境だったので、5台目以降でなんらかの影響があるかとおもっていたが、意外な結果といえる。
これに対して、MEM(メモリ)とHDDに関しては、仮想マシンが増えるごとに低下しているのがわかる。HDDアクセスは台数が増えた分だけパフォーマンスが低下している。この結果は、以前に紹介したHyper-Vのベンチマーク結果と似た傾向なので、環境構築の際は注意すべきだろう。
今回は評価目的ということもありExpress Editionを使用したが、もちろん実運用目的で使っても問題ない。単一のXenServerだけでサーバー統合を行うのであれば十分だ。ただし、複数のXenServerを使う場合は、Express Editionでは不十分だ。というのも、管理ツールのXenCenterは1台のXenServerのみを管理できるようになっているので、複数のXenServerを使う場合、別々に管理しなければならなくなるからだ。これを解決するには、上位製品を購入する必要がある。とはいえ、Express Editionにライセンスを入力するだけなので、すでに構築した環境を無駄にすることなく上位製品に移行できるので便利だろう。
■ URL
Citrix XenServer
http://www.citrix.co.jp/products/xenser.html
■ 関連記事
・ WindowsユーザーのためのXenServer入門【前編】(2008/12/25)
( 福浦 一広 )
2008/12/26 09:00
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