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Microsoft vs Google、引き抜きで明らかになった人材バトル
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米Microsoftと米Googleの闘いがヒートアップしている。GoogleのMicrosoft幹部引き抜きをめぐって、両社は法廷を舞台に非難の応酬を繰り広げている。提出された文書からは、内部での経緯もうかがわれる。さらにインターネットの覇権を狙う両社が人材獲得に躍起となっているさまが浮かび上がってきた。
引き抜き騒動は7月19日、Googleが中国のR&Dセンター開設を発表したところから始まった。新しいR&Dセンターの責任者に、Google中国の社長も務めるKai-Fu Lee氏が就任するという内容だが、このLee氏がMicrosoft副社長だったのである。
これに対し、Microsoftは即座に、Lee氏とGoogleを競業禁止契約違反で訴えたと発表した。Lee氏は2000年8月に、従業員契約の一環としてMicrosoftと「非競業契約」(noncompetition agreement)を結んでおり、退社後も1年間は競合企業で働くことを禁じられているという。あわせてMicrosoftは、本審理が始まるまで、業務につくことを禁止する差し止め仮命令も求めた。
ライバル会社への華麗な転職は米国では珍しいことではない。が、IT業界でもトップを争おうという両社の間の幹部異動は、いやがおうでも注目を集めた。
Lee氏は中国出身の音声認識と人工知能の研究者で、Microsoftではナチュラル・インタラクティブ・サービス部門担当副社長を務めていた。Microsoftによると、Lee氏は同社で最も中国に精通した幹部であり、検索技術や中国戦略の企業秘密を直接扱っていた人物であるという。重要機密と人脈をみやげに敵方にわたった裏切り者というわけだ。
一方、Googleも反訴した(裁判所はMicrosoftと異なるカリフォルニア州)。訴訟には利益がなく、他の従業員のMicrosoft離れを食い止めるための見せしめを狙ったものだと主張している。Lee氏の位置づけは両社で異なっており、Google側は、検索の専門家ではなく、中国に関する経験も以前の職場であるApple Computerで得たものとしている。
本訴の審理は来年1月に始まるが、Microsoftが求めていた差し止め仮命令が7月末に認められたため、Lee氏は宙に浮いた状態となっている。命令では、検索、音声認識、ビジネス戦略などの業務に従事することを禁止している。Googleは命令を不服として取り消しを申し立てており、来年まで延長するかどうかの結論は、今週下される予定だ。
法廷では、それぞれ内情の暴露めいた話も飛び出しており、経過がある程度明らかになってきた。
まず、Microsoft側の提出した文書によると、Lee氏はR&Dセンターの話を知って、Googleへの接触を図ったという。5月7日にGoogleのCEO、Eric Schmidt氏にメールを送り、関心を持っていることを伝えた。このなかで「私は現在Microsoftの副社長で、Googleに非常に関係のある分野で働いている」と述べ、売り込んだという。中国戦略を本格化させているGoogleが、これにとびついたかっこうだ。
また、Google側の文書によると、MicrosoftはGoogleへの人材流出に相当いらだっているようだ。Lee氏以前にGoogleへ移った元MicrosoftエンジニアのMark Lucovsky氏の宣誓陳述書では、昨年11月、同氏がSteve Ballmer CEOに退職を申し出た時、Ballmer氏は激高して、オフィスでいすをほうり投げ、GoogleのSchmidt CEOを「葬る」(bury that guy)、「グーグルをつぶす」(Kill Google)と誓ったという。
もっとも、この内容について、Ballmer氏は即座に反論し、「ひどい誇張」であり、事実とは異なるとの声明を出している。
ともあれGoogleが優秀な人材を多く集めようとしていることは間違いない。いま最も競争の激しい検索サービスの分野で勝ち抜いていくには人材の獲得は必須である。Googleは9月8日に、“インターネットの父”として知られるVinton Cerf氏を「最高インターネットエバンジェリスト」(Chief Internet Evangelist)として迎え入れると発表した。同社はこれまで外部から従業員を雇い入れたことをあまり発表しておらず、過去では、2001年にEric Schmidt 氏をCEOに迎えた時、そしてLee氏の例ぐらいである。
人材獲得合戦では、Microsoftも負けてはいない。
オープンソースの中心的理論家で、OSI(Open Source Initiative)共同設立者のEric Raymond氏が9日、Microsoftのリクルート担当者から接触があったことを明らかにした。
同氏のブログで公開されたリクルーターのメールには、「Microsoftは、世界の人々とビジネスのための製品を作り出す世界的なエンジニアを捜しています…」「また、あなたのお仲間で、Microsoftで働くことに興味をお持ちの方がいれば、よろこんでお話させていただきます」と書かれている。
Raymond氏は、このリクルーターに返信した断りのメールも公開。そのなかで、自分が「1997年ごろから、Microsoftにとっての最悪の悪夢」となっていると自己紹介している。
また、Raymond氏は、Googleからも誘いがあったことを明らかにしている。
■ URL
Googleのリリース
http://www.google.com/press/pressrel/rd_china.html
Microsoftのリリース
http://www.microsoft.com/presspass/press/2005/jul05/07-19GoogleStatement.mspx
Microsoftが公開しているGoogle訴訟関連文書
http://www.microsoft.com/Presspass/legal_newsroomarchive.mspx?case=Google
Microsoft対Google訴訟関連命令
http://www.metrokc.gov/kcsc/rulings/msgoog.htm
Eric Raymond氏のブログ
http://esr.ibiblio.org/?p=208
( 行宮翔太=Infostand )
2005/09/12 09:05
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