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EU vs Microsoft、すれ違いから非難応酬へ |
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欧州連合（EU）と米Microsoftの独占禁止法違反問題が長期化の様相を見せている。4億9720万ユーロ（約657億円）の罰金を含む制裁措置決定から約2年がたったが、Microsoftが示す案を、EUが不十分とするという繰り返しのあと、こじれが顕著になってきた。Microsoftは当初、解決まで5年を見込むとしていたのだが…。 EUの執行機関である欧州委員会（EC）は2004年3月24日にMicrosoftに対する是正命令を下した。EU競争法（独禁法）違反に関する5年間の調査の結果、同社に独占的立場の乱用がみられると判定したものだ。内容は、次の3点である。 1）4億9720万ユーロの罰金支払い 2）Windows Media Player（WMP）を含まないWindows OSの90日以内の提供 3）ワークグループサーバーで、Windows OSが相互に通信するインターフェイスの120日以内の公開 Microsoftは2カ月半後の6月7日に控訴し、判決まで執行を延期するよう申し立てたが12月に却下され、EC側の要求を満たさなければならなくなった（罰金の支払いは終えていた）。2）のWMP是正措置については、翌2005年1月にEU市場に向けのWMPを含まないWindows XPを提供した。 さらに、3）については、ECの決めた期限ぎりぎりの2005年5月末、「かなり厳しい譲歩をした」（Steve Ballmer CEO）という相互運用性プログラム「Workgroup Server Protocol Program」を発表した。 だが、この相互運用性をめぐる両者の見解のずれが、その後の争点になる。ECの求める“相互運用性”と、Microsoftが出してくる“情報や対策”がなかなか一致しないのだ。 相互運用性プログラムを検討したECは半年後の同12月、Microsoftがなお是正命令を順守していないと結論づけ、最大で1日あたり200万ユーロ（約2億8000万円）の新たな罰金を科す可能性があると警告した。是正に向けた最後通告にあたり、期限は5週間と切られた。 Microsoftは即座に、これを不当とする声明を発表したが、結局、譲歩する形で、期限直前の2006年1月25日に「究極のドキュメンテーション」であるWindows Serverのソースコード開示に踏み切った。同社はECの命令以上の対応であると強調している。 だが、その後の米『Wall Street Journal』などの報道によると、ECは、ソースコード開示では不十分という見解の文書をMicrosoftに送ったという。この中でECは、Windows Serverとの相互運用性のための技術情報公開は役に立たないと結論付けたとされている。 そして、ここから両者の対決色が一気に強まった。Microsoftは先月2月15日、同社が「十分な情報を出しているのに、ECが見落としている」とする回答書をECに提出（2月23日、Web上に掲載）。争いはECの態度や正当性を問うものにまで発展した。EC側は「決めるのはECであってMicrosoftではない」と応酬するなど、本当のケンカの様相になってきた。 さらに3月2日には、追加の回答書で、ECが競合他社と連携しており、規制当局としての中立性に問題があると批判した。米IBMなどでつくる業界団体「European Committee for Interoperable Systems」（ECIS）が2月22日に新たな申し立てを行ったことに応えたものとみられる。 こじれにこじれているのだが、ECはなぜ、相互運用性を問題にし続けているのだろう。 さまざまな報道をまとめると、2005年のWorkgroup Server Protocol Programライセンスに対しては、不要なものまでライセンス料を支払う必要がある点などに難色を示しており、今年1月のソースコード開示に対しては、あまりにも情報が整理されていないことから、競合他社がこれを利用して容易に相互運用性を確立できない点を問題点としているようだ。また、Microsoftの対応策ではメリットを得にくいオープンソース団体へも配慮しているとみられる。 いずれにせよ、まだ簡単には決着がつきそうにない。3月30日と31日には聴聞会が開かれる予定だ。 だが、Microsoftや各国の規制当局が時間をかけてやりとりや訴訟プロセスを進める間にも、時代は変化している。大事なことは、長いプロセスを経て出される結果が、ユーザーにとって意味あることなのだが…。 ■ ＵＲＬ 米MicrosoftがWebサイトに掲示したECへの回答書 http://www.microsoft.com/presspass/legal/02-23-06ResponsetoECSO.mspx
（ 岡田陽子＝Infostand ）
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