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今度は「Google Phone」? Googleの携帯電話に飛び交う情報


 米Appleの「iPhone」の後を引き継ぐように、米Googleの携帯電話「Google Phone」のうわさが飛び交っている。同社の欧州幹部がその存在を認める発言をしたかと思うと、別の幹部がこれを否定、追うメディアの報道もそのつど二転三転している。Google Phoneは果たして実在するプロジェクトなのだろうか―。


 「Google Phone」のうわさが流れ始めたのは昨年末ごろからだ。「Switch」というプロジェクト名で呼ばれることもある。ガジェット情報サイト、Endgadgetなどが“読者から送られてきた写真”を掲載したことなどから、Googleの携帯がクローズアップされるようになった。さらに3月になって、複数の調査会社のアナリストが、レポートでGoogleの携帯について報告したことが引き金となって、世界の大手メディアでも一気に報道が過熱した。

 たとえば、Reutersが伝えた、Richard Windsor・野村証券・通信機器担当のシニア・アナリストのレポート『Google Phone;From myth to reality(Google Phone、つくり話から現実へ)』によると、3月初めにドイツ・ハノーバーで開催された展示会「CeBIT 2007」で、Googleの代表者が携帯電話を開発中であることを認めたという。レポートは、Google Phoneはハイエンドではなくマス向けの携帯電話で、PCを持たないユーザーを主なターゲットとしたインターネットアクセス端末になるとしている。

 また台湾のTaipei Timesが引用したSusquehanna Financial GroupのMarianne Wolk氏のリサーチノートによると、Googleは巨大な携帯電話市場を活用して、検索、電子メール、地図などの自社機能の利用増を図ろうとしているという。

 このほかにも、ベンチャーキャピタリストのSimeon Simeonov氏が3月4日付のブログで、“Googleに近い筋からの情報”として、多機能携帯端末のBlackberryに似た外観で、VoIPなどのサービスを搭載した電話を開発中、と書いている。Simeonov氏によると、Google Phoneチームは100人体制で、これを率いるのはGoogleが2005年に買収した携帯ベンチャーのDangerとAndroidの設立者、Andy Rubin氏という。また、Googleがひそかに買収したSkiaとReqwirelessという携帯電話関連会社2社の技術が利用されるとしている。

 開発チーム関連では、英Guardian紙も、Googleが欧州の携帯電話事業者にアプローチしていることを報じ、英T-Mobileで人気端末「Sidekick」を開発したチームを引き抜いたとの情報を紹介している。


 こうして情報が錯綜する中に、“決定打”とみられるニュースが流れた。Googleでスペイン/ポルトガルを担当するトップ、Isabel Aguilera氏が携帯電話プロジェクトの存在を認めたというのだ。スペインの情報サイト、Noticias.comが3月14日付で報じた。

 だが3月21日、また話は戻ってしまう。今度は、Googleの東南アジア担当営業ディレクター、Richard Kimber氏がはっきり否定したとオーストラリアのSydney Morning Herald紙が報じた。Kimber氏は「われわれは、電話ではなく、ソフトウェアにフォーカスしている」とコメント。ハードウェア事業への進出はGoogleの事業モデルにとって大きなシフトとなるとした上、Googleは検索をはじめとする技術を携帯端末に移植しようとしているが、携帯電話そのものの市場に参入するつもりはないと明言したという。

 これは、口の重い米国本社が、The Wall Street Journalなどの取材に対して述べている次のようなコメントとも一致する。「Googleにとってモバイルは重要な分野であり、Googleはアプリケーションを構築し、業界のリーダー各社と提携して世界のユーザーに革新的なサービスを提供することにフォーカスしている」


 実際、メディアにはGoogleの携帯電話開発を疑問視するものも多い。

 米PC Worldは、「Why Would Google Want a Phone?」(Googleが電話を欲することがあるのか?)というタイトルでGoogle Phoneのうわさを分析している。ここでは、Googleが独自の携帯電話を提供することが意味をなさない理由として、▽自社ソフトウェアをプリインストールする提携を結んでいるSamsungなどのベンダーとの関係、▽安価なインターネット端末として、すでにMIT Media Labと共同で進めている“100ドルノートパソコン”の「One Laptop Per Child」プロジェクトがあること―などを挙げている。

 また、Googleスペイン責任者のコメントについても、Googleには20%ルール(社員が自分の時間の20%を興味あるプロジェクトに費やせるというルール)があり、同氏の言う携帯電話プロジェクトは、20%ルールから生まれた数あるプロジェクトの1つに過ぎないのではないか、と分析している。

 超大手の携帯電話参入をめぐっては、米Microsoftが「Zune Phone」を出すといううわさまである。それだけコンピュータ関連企業にとって、携帯電話が大きな存在になっていることを示していると言える。AppleのiPhoneが現実になったことで、それぞれのうわさが真実味を帯びたことが拍車をかけている。

 だが、Google Phoneの存在は、なお謎に包まれている。メディアの喧騒はしばらく続きそうだ。



URL
  Reutersの記事(英文)
  http://www.reuters.com/article/technologyNews/idUSN1823690420070319
  Simeon Simeonov氏のブログ
  http://simeons.wordpress.com/2007/03/04/the-real-google-phone/
  Noticiasの記事(スペイン語)
  http://www.noticias.com/noticia/directora-general-google-espana-confirma-que-compania-esta-trabajando-desarrollo-telefono-movil-257.html
  Sydney Morning Heraldの記事(英文)
  http://www.smh.com.au/news/mobiles--handhelds/google-quashes-mobile-phone-talk/2007/03/21/1174153139660.html#
  Guardianの記事(英文)
  http://business.guardian.co.uk/story/0,,2038761,00.html
  PC Worldの記事(英文)
  http://www.pcworld.com/article/id,129959-pg,1/article.html


( 岡田陽子=Infostand )
2007/03/26 09:03

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