ランキングで振り返る、2009年のエンタープライズ業界動向(10~12月)


 Enterprise Watchで今年一年間掲載した記事の中から、アクセス数をもとに月別の10大ニュースを選出して紹介する。個人ユーザーでも関心が持てる記事へのアクセスが高くなりがちではあるが、ランキングを通じて業界全体の動きを振り返ってみる。

 今回は、10月から12月までのランキングを紹介する。


【10月】XP Modeに関心が集まる

 Windows 7 Professional/Enterprise/Ultimateに搭載される仮想化機能「Windows XP Mode」のRTMと提供開始を伝える記事が1位と2位にランクイン。Windows 7のデスクトップにウィンドウで表示され、Windows 7のアプリケーションと同じ感覚で利用できるこの機能は、仮想環境内のWindows XPのライセンスを含めて無償で提供されるということで、業界全体でも関心が高い機能だ。

 また、2010年前半に新バージョンの提供を控えるSQL Serverについても、新ライセンス体系の追加など、ビジネス施策の強化を報じた記事が10位にランクインした。条件付きではあるが、保守契約を継続していなかった旧バージョンのユーザーでも、安価に最新版が使えるようになるライセンスで、メリットのあるものだけに、広く読まれたようだ。

順位記事名掲載日
1Windows 7向けの「XP Mode」が開発完了、10月22日から提供開始に10/02
2Windows XP ModeとWindows Virtual PCがダウンロード可能に10/23
3ヴイエムウェア、Windows 7をサポートした「VMware Workstation 7」10/28
4Office 2010で新入手方法を導入-プロダクトキー・カードでアップグレード可能に10/09
5富士通、2009年度上期連結決算は減収減益-営業利益は大幅改善10/29
6レノボ、Windows 7搭載のエントリー向けノートPC「ThinkPad SL510」など10/16
7米Adobe、モバイル対応「Flash Player 10.1」を発表10/06
8小型NAS/ファイルサーバーのバックアップに特化したアプライアンス10/16
9ヤマハ、VPNルータ「RTX1200」を機能強化-GUI画面の個別作成や設定ウィザードに対応10/16
10マイクロソフト、SQL Serverなどに適用可能な新ライセンス「EAP」10/02

【11月】公私に無料で使える「サイボウズLive」がトップ

 1位はサイボウズが始めた新サービス「サイボウズLive」。公私に無料で使えるグループウェアだ。発表会に参加したユーザー数百名は、青野社長のプレゼンに耳を傾け、時に喝采をあげ、異様な盛り上がりを見せていた。

 また、先週Intelが米国FTCから提訴されたというニュースが報じられたばかりだが、2005年から争っていたAMDとの間で、和解が成立したことを報じた記事が3位に入った。PCのCPUという、重要な部品を扱うメーカー同士の訴訟ということもあって、提訴時はかなり大きな話題になったものだが、その成り行きについても大きな関心を集めた。

 6位には、富士通の「館林システムセンター」見学記事がランクイン。クラウドサービスの拠点として最新技術を集めて建てられた「新棟」のレポートだが、耐震、環境配慮、冷却、セキュリティなどさまざまな方面の技術が満載で、非常に興味を引かれる記事だった。

順位記事名掲載日
1仕事もプライベートも、無料で使えるグループウェア「サイボウズLive」11/27
2米Google、オープンソースOS「Chrome OS」をプレビュー11/20
3米Intelと米AMDが全面和解-AMDへの12億5000万ドルの支払いも11/13
4マイクロソフト、Windows phoneを国内発表11/12
5米Microsoft、「Office 2010」のパブリックベータ版を公開11/19
6富士通、次世代クラウドサービスの拠点となる「館林システムセンター」を公開11/24
7マイクロソフト、Visual Studio 2010の日本語ベータ2を一般向けに公開11/13
8ヴイエムウェア、デスクトップ仮想製品の最新版「VMware View 4」11/09
9NEC、飲食店向けに特化したAtom搭載パネルコンピュータ11/12
10シマンテック、最新のOS・仮想化に対応した「Backup Exec System Recovery 2010」11/04

【12月】日本HPやデルのデスクトップPCに注目が集まる

 1位に日本HPのデスクトップPC新ブランド、3位にデルの超小型デスクトップPC、7位に日本SGIのパーソナル・スーパーコンピュータがランクイン。新OSや新CPUなどが続々登場する中で、それらの結晶となるハードウェア関連の記事は相変わらず強い。ベクトルはいずれも“超小型化”へと向いていた。

 また、仮想化も注目が高い分野で、毎月ランキングの上位に顔を出してきた。今月は「VirtualBox」と「VERDE」がベスト10に入っているが、トップシェアのVMwareやマイクロソフトのHyper-V以外にもさまざまな製品が登場し、そしてそれが注目を集めているということからも、本当にホットなトピックスだと実感できる。

 一方、以前からのランキング常連であるウイルス対策ソフトでも、Aviraの日本参入を伝える記事が5位に入っている。まず、重点的にコンシューマを攻めるとのことだが、法人市場についても本格的な参入を検討しているようなので、今後の展開を注目したい。

 そのほか、ハードウェアを製造する富士通の生産工場に関する記事もランクイン。非日常の情景を見られるこうした取材は、編集部としても面白いものだ。

順位記事名掲載日
1日本HP、企業向けデスクトップの新上位ブランド「HP Compaq Elite」12/02
2米Sun、異なるホスト間で仮想マシンを移動できる「VirtualBox」最新版12/01
3デル、超小型法人向けデスクトップPC「OptiPlex 780 USFF」など12/11
4「競争相手は無料ソフトという状況は変わらない」ATOK 2010発表会12/08
5独Avira、1億のユーザーを持つウイルス対策ソフトの日本語版-無償版も提供12/01
6ひとつのラインで1日150台を生産-富士通がPCサーバーの生産工場を公開12/11
7日本SGI、デスク脇に置けるスーパーコンピュータ「SGI Octane III」12/01
8Windows 7に対応した仮想デスクトップ「VERDE」最新版-Mac OS Xでの動作も12/03
9浮川夫妻の新会社「MetaMoji」、ジャストシステムからの事業譲渡も12/11
10NEC、A3モノクロレーザープリンタ4機種-120万ページの長寿命12/15



(編集部)

2009/12/25/ 12:00