ランキングで振り返る、2009年のエンタープライズ業界動向(10~12月)
Enterprise Watchで今年一年間掲載した記事の中から、アクセス数をもとに月別の10大ニュースを選出して紹介する。個人ユーザーでも関心が持てる記事へのアクセスが高くなりがちではあるが、ランキングを通じて業界全体の動きを振り返ってみる。
今回は、10月から12月までのランキングを紹介する。
■【10月】XP Modeに関心が集まる
Windows 7 Professional/Enterprise/Ultimateに搭載される仮想化機能「Windows XP Mode」のRTMと提供開始を伝える記事が1位と2位にランクイン。Windows 7のデスクトップにウィンドウで表示され、Windows 7のアプリケーションと同じ感覚で利用できるこの機能は、仮想環境内のWindows XPのライセンスを含めて無償で提供されるということで、業界全体でも関心が高い機能だ。
また、2010年前半に新バージョンの提供を控えるSQL Serverについても、新ライセンス体系の追加など、ビジネス施策の強化を報じた記事が10位にランクインした。条件付きではあるが、保守契約を継続していなかった旧バージョンのユーザーでも、安価に最新版が使えるようになるライセンスで、メリットのあるものだけに、広く読まれたようだ。
■【11月】公私に無料で使える「サイボウズLive」がトップ
1位はサイボウズが始めた新サービス「サイボウズLive」。公私に無料で使えるグループウェアだ。発表会に参加したユーザー数百名は、青野社長のプレゼンに耳を傾け、時に喝采をあげ、異様な盛り上がりを見せていた。
また、先週Intelが米国FTCから提訴されたというニュースが報じられたばかりだが、2005年から争っていたAMDとの間で、和解が成立したことを報じた記事が3位に入った。PCのCPUという、重要な部品を扱うメーカー同士の訴訟ということもあって、提訴時はかなり大きな話題になったものだが、その成り行きについても大きな関心を集めた。
6位には、富士通の「館林システムセンター」見学記事がランクイン。クラウドサービスの拠点として最新技術を集めて建てられた「新棟」のレポートだが、耐震、環境配慮、冷却、セキュリティなどさまざまな方面の技術が満載で、非常に興味を引かれる記事だった。
■【12月】日本HPやデルのデスクトップPCに注目が集まる
1位に日本HPのデスクトップPC新ブランド、3位にデルの超小型デスクトップPC、7位に日本SGIのパーソナル・スーパーコンピュータがランクイン。新OSや新CPUなどが続々登場する中で、それらの結晶となるハードウェア関連の記事は相変わらず強い。ベクトルはいずれも“超小型化”へと向いていた。
また、仮想化も注目が高い分野で、毎月ランキングの上位に顔を出してきた。今月は「VirtualBox」と「VERDE」がベスト10に入っているが、トップシェアのVMwareやマイクロソフトのHyper-V以外にもさまざまな製品が登場し、そしてそれが注目を集めているということからも、本当にホットなトピックスだと実感できる。
一方、以前からのランキング常連であるウイルス対策ソフトでも、Aviraの日本参入を伝える記事が5位に入っている。まず、重点的にコンシューマを攻めるとのことだが、法人市場についても本格的な参入を検討しているようなので、今後の展開を注目したい。
そのほか、ハードウェアを製造する富士通の生産工場に関する記事もランクイン。非日常の情景を見られるこうした取材は、編集部としても面白いものだ。
2009/12/25/ 12:00