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“仮想サーバーソフトウェア”は2005年の技術トレンドとなるか?
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2004年の記事からVitual Server 2005、VMware ESX Serverを比較する
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「VMware ESX Server」(左)と「Virtual Server 2005」
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サーバー環境をソフトウェアエミュレーションする仮想サーバーソフトウェアの老舗であるヴイエムウェア株式会社では、最新版となる「VMware ESX Server 2.5」を12月15日より出荷している。
一方、マイクロソフト株式会社でも、12月1日より仮想サーバー環境構築ソフトウェア「Virtual Server 2005 日本語版」を発売した。米Microsoftでは2003年8月に米Connectixから仮想サーバーインフラの技術を買収し、すでにクライアント向けの「Virtual PC 2004」が5月14日よりパッケージ販売していた。Virtual Server 2005は、そのサーバー向け製品となる。
Virtual Server 2005 Standard Editionで4CPUサーバーでの稼動をサポートしているが、VMware ESX Serverは16CPU環境をサポートしており、さらに仮想サーバー環境をマルチプロセッサ構成で稼働可能にするアドオン「Virtual SMP」が2003年より提供されている。2005年には仮想4CPU環境をサポートする予定だ。
【一部内容に不適切な部分がありましたので訂正させていただきました(1月6日 14:00)】
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ファイル単位で仮想環境の履歴を管理できるVHDの機能
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Virtual Server 2005の機能については、マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品部 プロダクトマネージャの井尾 慎之介氏は、6月の「the Microsoft Conference 2004」、9月に行われた「Windows Server World Conference 2004」で、その詳細を解説している。
Virtual Server 2005に特徴的な機能として、仮想環境の世代を履歴として差分ファイルを保存できる点がある。これによりソフトウェア開発におけるテスト環境として、サービスパック適用前後などを検証可能になる。
井尾氏がユーザーの多くがマイクロソフトがフルサポートするVM製品を要望していたとする通り、OSベンダーであるマイクロソフト自身が提供する仮想サーバーソフトウェアという点も、信頼性を重視するエンタープライズでの利用においては意義のある点だろう。
こうした仮想サーバーソフトの導入メリットについて、米VMware CEO兼社長のダイアン・グリーン氏は「サーバー使用率の向上、環境の展開時間短縮」を挙げ、さらに「複数のプラットフォームが混在する企業環境においてハードウェアに依存せずに複数のOSを一元管理できる」と述べている。
Virtual Server 2005のホストOSは、Windows Server 2003/Windows Small Business Server 2003のみ、また仮想環境での稼動がサポートされるOSもWindows NT 4.0/2000 Server/Server 2003といったサーバーOSのみだ。
VMwareは、ホストOSとしてWindows NT 4.0 Workstation/NT 4.0 Server/2000 Pro/XP Pro、さらに各種Linux環境でも動作し、ゲストOSとしてはNetWare、FreeBSDまでをサポートする点が大きなメリットになる。
マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品部 部長 高沢冬樹氏は、9月の「Japan IT Infrastructure Vision 2004」の講演で「階層モデルのWebアプリケーション開発テストを1台のサーバーで行うことも可能となる。さらに仮想環境下では、よりセキュアにWindows NTを稼動可能となり、業務アプリケーションを移植するコストも不要になる」と、環境移行ソリューションとしてのメリットを強調している。
また米Microsoft Windows Server部門シニアバイスプレジデントのボブ・マグリア氏は「Microsoft Management Summit 2004 Japan」において「アプリケーションの開発・テスト環境として用いることでコストを削減できる」と述べている。
なおVirtual Server 2005の仮想環境は、マイクロソフトの管理ツール「Microsoft Operation Manager 2005」を用いて管理でき、アラートをトリガーとして自動的に別の仮想環境を起動するといった動作をスクリプトにより設定できるメリットもある。
一方VMwareでは、専用の管理ソフト「VMware VirtualCenter」を提供している。その1機能である「VMware VMotion」では、仮想マシンを稼動したまま稼動対象の物理サーバーを移動できるが、VMware ESX Server 2.5の新機能であるSANブートにより、これまでのように物理サーバーのHDDを利用せず、SAN環境のみでシステムを構築できるようになった。
【一部内容に不適切な部分がありましたので訂正させていただきました(1月6日 14:00)】
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複数の仮想環境を一元管理できるVMwareの管理ツール「Virtual Center」
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同様の機能を持つ「Virtual Server 2005」のWebコンソール
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仮想化技術をブレードサーバーと組み合わせることで、CPU稼働率の向上とサーバー統合を実現できる
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デルでは、このSANブートの機能とブレードサーバーを組み合わせたソリューションを2005年1月より提供予定だ。また日本HPでも、ブレードサーバーに「Virtual Server」、「VMware」の仮想化技術を用いてCPU稼働率の向上とサーバー統合を実現するソリューションを提案している。
VMWareとVirtual Serverで利用できるツールとしては、物理サーバーからの環境移行ソフトウェア「PowerP2V」なども提供されている。
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1CPUを10の論理区画に分割し、リソースを自動配分できるIBMの「Virtualization Engine」
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長年メインフレームによるCPUリソースの仮想化技術を手がけているIBMでは、CPU1基を最大10台にパーティショニングするサーバー仮想化エンジン「IBM Virtualization Engine Suite for Servers」を、POWER5を搭載する「IBM eServer iSeries」向けに提供している。
1サーバーのリソースを複数に分割し、利用効率を向上する仮想化技術に比べ、複数サーバーを束ねて1サーバーとして扱えるようにする技術がグリッド・コンピューティングだ。正反対の技術ながら、IT資源をいかに最適化するかという視点での共通性が見い出せるといえよう。
■ URL
Microsoft Virtual Server 2005
http://www.microsoft.com/japan/windowsserversystem/virtualserver/
VMware ESX Server
http://www.vmware.com/jp/products/server/esx_features.html
( 岩崎 宰守 )
2005/01/05 11:45
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