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ランキングで振り返る、2004年のエンタープライズ業界動向(7~9月)


 Enterprise Watchで今年一年間掲載した記事の中から、アクセス数をもとに月別の10大ニュースを選出して紹介する。個人ユーザーでも関心が持てる記事へのアクセスが高くなりがちではあるが、ランキングを通じて業界全体の動きを振り返ってみる。

 3回目は、7月から9月のニュースを紹介する。


【7月】Pocket PC 2004 SEを搭載した富士通のPDAが1位に

 1位は富士通のPDA。コンシューマ向けPDAの売れ行きが伸び悩んでいるという話題があったが、新製品に対する注目は依然高い。業務向けでは製造や流通分野で広く使われており、RFIDが実用化されれば用途の拡大も予想される。また、送信者認証技術の講演記事が7位に入っている。送信者認証技術は「複数が共存してその役割を果たす」(米Sendmail エリック・オールマンCTO)とされる。ITFに一度は否決され、その後再提出されたものの現在に至るまで解決を見ていない米Microsoft提案の「Sender ID」、米Yahoo!提案の「DomainKeys」などがある。SMTPインフラにははじめて手が加えられることから、その後の変化は予想がつかない面があり、メールサーバー管理者にとっては、時期も含めて対応への判断が迫られるだろう。

 そのほか、10月に新会社アラクサラネットワークの社長に就任した元日立の和田氏のインタビューが8位にランクイン。日の丸ネットワーク企業への関心の高さをうかがわせる。

順位記事名掲載日
1ハードウェア 富士通、VGA液晶とデジカメを搭載したPDAを発売7/6
2ハードウェア 日本IBM、Pentium M 755を搭載したA4薄型モバイルワークステーション7/12
3ソフトウェア マイクロソフト、Visual Studio/SQL Serverの無償版「Express」の日本語版提供を予定7/7
4ソフトウェア アップル、「巨大なアプリケーション向けに設計した」次期Mac OSなどを披露7/9
5ハードウェア 「2台のHDDが同時に故障してもデータが守られる」RAID 6対応ストレージ7/21
6トピック 日本IBMが広告から「eビジネス」を外した理由とは?7/28
7トピック 「失墜したメールシステムの信頼性を取り戻す」送信者認証技術7/26
8トピック 「日本市場に“本当に”適した製品で勝負する」日立・和田氏7/9
9ハードウェア ブレードサーバーを利用した“世界初の”無停止サーバー、SSEから7/8
10トピック 販売パートナーに資格取得を課すシマンテック、その狙いは?7/2


【8月】個性的なクライアントPCが上位にランクイン

 鉄の床に落としても壊れない堅牢ノートPCやテニスボール4個分のコンパクトデスクトップPCなど、個性的なクライアントPCの記事がランクイン。また、マイクロソフトのx64版Windows XP評価版への関心も高かった。x86-64環境に現時点で正式に対応するOSはLinuxのみで、Windowsはベータ版のみが提供されているのが現状。x64版Windows XP評価版は2005年上半期中のリリースがアナウンスされ、x86-64環境に対応するWindows Server 2003SP1の英語版が、この12月にRC(出荷候補版)となっている。特にエンタープライズ環境ではメリットが大きいとみられることから、期待も大きい。

 そのほか、ソフトイーサ自身がリリースした、SoftEther遮断ツールの記事が8位にランクイン。SoftEtherは「企業内で勝手に利用されるとセキュリティホールになる」という点が懸念されていただけに、特に管理者の方には関心が高かったようだ。

順位記事名掲載日
1セキュリティ マイクロソフト、IEの累積的なセキュリティ更新プログラムを緊急公開8/2
2海外 Linuxカーネル内に、特許訴訟の対象になりうる技術が283件8/3
3ハードウェア NEC、「90cmの高さから鉄の床に落としても壊れない」堅牢ノートPC8/27
4海外 米Microsoft、x64版Windows XP最新評価版の提供を開始8/20
5ハードウェア 日本IBM、「テニスボール4個分」のコンパクトデスクトップPC8/26
6ハードウェア デル、最小構成で5万円台の企業向けデスクトップPC8/23
7ハードウェア ロジテック、USB HDDを増設可能なボックス型NAS8/19
8ネットワーク ソフトイーサ、SoftEtherの通信を検出・遮断可能なソフトウェアを無償提供8/30
9海外 米Microsoft、Windows XP SP2がRTM段階に8/9
10ソフトウェア オフコンの操作性をWebアプリで実現する「FlyingServ」8/12


【9月】Windows XP SP2が正式公開

 Windows XP SP2が正式公開されたのが9月2日。これ以降、企業ではSP2を入れるかどうかで対応が分かれることになった。そんななか1位になったのが、マイクロソフトから企業に対してSP2の早期適用とアプリケーションの修正を呼びかける記事。Tech・EdではSP2抜きでは実現が難しいセキュリティ対策を実装するためにも、導入促進を呼びかけたものだ。ある調査によれば企業での導入率は10~20%台にとどまっているとのことで、マイクロソフトの懸命な呼びかけも伝わりきれていない様子。セキュリティ対策よりも大きなバージョンアップへの漠然とした不安はしばらく続きそうだ。

 また惜しくも総合ではランク外となっているが、ネットワークキャプチャソフト「Sniffer」新版の発表に関する記事が「ネットワーク」カテゴリーで1位になっている。ネットワーク関連でお仕事をされている方であれば触れる機会の多いソフトだけに、注目されたようだ。

順位記事名掲載日
1トピック マイクロソフト、Windows XP SP2早期適用とアプリケーションの修正を呼びかけ9/10
2セキュリティ マイクロソフト、JPEG処理の脆弱性に対応する「緊急」の修正プログラム9/15
3ソフトウェア Longhornもマネした?サンが開発する3Dデスクトッププラットフォーム8/31
4トピック ライブドア堀江社長「社長がITを理解すれば利益が上がる」9/29
5ハードウェア 日本HP、VGA液晶搭載モデルなどPDA3製品を発表9/22
6ソフトウェア マイクロソフト、Windows XP SP2を9月2日午前0時よりダウンロード提供9/1
7トピック 年内に日本語版が発売されるマイクロソフト純正のVMソリューション「Virtual Server 2005」9/22
8ハードウェア 日立、「世界初」の仮想化技術を搭載したハイエンドストレージシステム9/8
9トピック Windows Server 2003 SP1ではVPN下の検疫LANをサポート、R2ではLANに拡大9/17
10トピック 「高い、難しい」イメージの転換を図るオラクル9/17



( 編集部 )
2004/12/22 14:25

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