Enterprise Watchで今年一年間掲載した記事の中から、アクセス数をもとに月別の10大ニュースを選出して紹介する。個人ユーザーでも関心が持てる記事へのアクセスが高くなりがちではあるが、ランキングを通じて業界全体の動きを振り返ってみる。
3回目は、7月から9月のニュースを紹介する。
■ 【7月】Pocket PC 2004 SEを搭載した富士通のPDAが1位に
1位は富士通のPDA。コンシューマ向けPDAの売れ行きが伸び悩んでいるという話題があったが、新製品に対する注目は依然高い。業務向けでは製造や流通分野で広く使われており、RFIDが実用化されれば用途の拡大も予想される。また、送信者認証技術の講演記事が7位に入っている。送信者認証技術は「複数が共存してその役割を果たす」(米Sendmail エリック・オールマンCTO)とされる。ITFに一度は否決され、その後再提出されたものの現在に至るまで解決を見ていない米Microsoft提案の「Sender ID」、米Yahoo!提案の「DomainKeys」などがある。SMTPインフラにははじめて手が加えられることから、その後の変化は予想がつかない面があり、メールサーバー管理者にとっては、時期も含めて対応への判断が迫られるだろう。
そのほか、10月に新会社アラクサラネットワークの社長に就任した元日立の和田氏のインタビューが8位にランクイン。日の丸ネットワーク企業への関心の高さをうかがわせる。
■ 【8月】個性的なクライアントPCが上位にランクイン
鉄の床に落としても壊れない堅牢ノートPCやテニスボール4個分のコンパクトデスクトップPCなど、個性的なクライアントPCの記事がランクイン。また、マイクロソフトのx64版Windows XP評価版への関心も高かった。x86-64環境に現時点で正式に対応するOSはLinuxのみで、Windowsはベータ版のみが提供されているのが現状。x64版Windows XP評価版は2005年上半期中のリリースがアナウンスされ、x86-64環境に対応するWindows Server 2003SP1の英語版が、この12月にRC(出荷候補版)となっている。特にエンタープライズ環境ではメリットが大きいとみられることから、期待も大きい。
そのほか、ソフトイーサ自身がリリースした、SoftEther遮断ツールの記事が8位にランクイン。SoftEtherは「企業内で勝手に利用されるとセキュリティホールになる」という点が懸念されていただけに、特に管理者の方には関心が高かったようだ。
■ 【9月】Windows XP SP2が正式公開
Windows XP SP2が正式公開されたのが9月2日。これ以降、企業ではSP2を入れるかどうかで対応が分かれることになった。そんななか1位になったのが、マイクロソフトから企業に対してSP2の早期適用とアプリケーションの修正を呼びかける記事。Tech・EdではSP2抜きでは実現が難しいセキュリティ対策を実装するためにも、導入促進を呼びかけたものだ。ある調査によれば企業での導入率は10~20%台にとどまっているとのことで、マイクロソフトの懸命な呼びかけも伝わりきれていない様子。セキュリティ対策よりも大きなバージョンアップへの漠然とした不安はしばらく続きそうだ。
また惜しくも総合ではランク外となっているが、ネットワークキャプチャソフト「Sniffer」新版の発表に関する記事が「ネットワーク」カテゴリーで1位になっている。ネットワーク関連でお仕事をされている方であれば触れる機会の多いソフトだけに、注目されたようだ。
( 編集部 )
2004/12/22 14:25
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