Enterprise Watchで今年一年間掲載した記事の中から、アクセス数をもとに月別の10大ニュースを選出して紹介する。個人ユーザーでも関心が持てる記事へのアクセスが高くなりがちではあるが、ランキングを通じて業界全体の動きを振り返ってみる。
今回は、9月から12月までのランキングを紹介する。
■ 【9月】エンタープライズでもネットブックに関心が集まる
今月は、1位と3位にネットブックの記事がランクインした。企業向けのソリューションはまだほとんど登場していないが、うまく使えば単体でもコストダウンに貢献できる製品だけに、高い注目を集めている。
4位には、先ごろ正式版が登場したGoogleのWebブラウザ「Chrome」のベータ版公開を報じた記事がランクイン。SaaSやクラウドサービスが提供されるにしたがってWebブラウザの重要性が増しているだけに、読者の関心は高いようだ。
そのほか、Hyper-V Server 2008の無償化も注目を集めた。マイクロソフトのほか、VMwareやシトリックスもサーバー仮想化製品の無償版を提供するなど、仮想化への関心が高まった時期でもあった。
■ 【10月】Office 14&Windows 7に注目が集まる
次期Microsoft Office製品であるOffice 14と、次期クライアントOSのWindows 7がワンツーを決めたほか、Windows 7の記事は4位にもランクイン。業界の動向を左右するマイクロソフトの次期主力製品に関する記事は、常に高い注目を集めている。
また、ネット上でのサービスを開発・提供するためのクラウドOS、Windows Azureに関する記事が5位に登場した。次世代の技術として注目されるクラウドは、読者の関心も高いのだろう。
ハードウェア関連では、レノボの「ThinkPad X200s」が3位、富士通の「FMVシリーズ」一新についてが8位、日本HPの大企業向けノートPCブランド「HP EliteBook」が10位と注目を集めた。
■ 【11月】SSD搭載で軽量化したNECのモバイルノートPCがトップ
1位は12月に発表されたNECのモバイルノートPC。2008年はSSDに高い関心が集まった年でもあった。その流れからか、オントラックデータの復旧ラボのレポートが2位にランクイン。破損HDDからデータを回収する技術に注目が集まった。
セキュリティ面では、暗号の2010年問題の記事が3位に。現在、多く利用されている暗号化技術が2010年以降非推奨となることから、新技術移行への手間が問題視されている。また、カード業界ではPCI DSSというセキュリティ基準に動きが見られた。11月には、ビザから大手のカード加盟店にPCI DSS準拠を義務づける旨も発表され、2009年以降、カード業界の動きが活発になることが予想される。
また、アダプテックのインターフェイスカードの記事が4位にランクインしたが、同社のカードについては、3月も3位にランクインするなど、注目を集めることが多かった。SAS/SATAをサポートする独自の技術を盛り込んでいるほか、省エネ対応のバージョンアップを行うなど、同社では精力的に新機能を提供している。以前より目にする機会が減ったとはいえ、読者にとってはまだまだ気になるメーカー、ということなのだろう。
■ 【12月】まだまだWindows XPに関心が集まる
マイクロソフトの思惑に反して、数々の問題からWindows Vistaの普及が遅れており、Windows XPへのニーズはまだまだ高い。2位にランクインした、システムビルダー向けライセンスの再度延長を報じる記事が注目されているのも、そうした背景からだろう。
一方で3位には、Windowsのシェアが90%割れしたという記事がランクイン。代わりにiPhoneのTVコマーシャルなど積極的なマーケティングを展開したAppleのMacがじわりとシェアを伸ばしている。
また、ぷらっとホームが開発したサーバーの記事が4位に入っている。1つの筐体には収納されるものの、完全に独立して運用される高密度サーバーで、ブレードサーバーやラック型サーバーのすき間を埋める役割を担っている。さまざまなデータセンターの形態が誕生する中で、サーバーに対するニーズが多様化していることも、こうした記事が注目される理由の1つといえるのではないか。
( 編集部 )
2008/12/26 11:49
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