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ランキングで振り返る、2008年のエンタープライズ業界動向(5~8月)


 Enterprise Watchで今年一年間掲載した記事の中から、アクセス数をもとに月別の10大ニュースを選出して紹介する。個人ユーザーでも関心が持てる記事へのアクセスが高くなりがちではあるが、ランキングを通じて業界全体の動きを振り返ってみる。

 今回は、5月から8月までのランキングを紹介する。


【5月】Windows XP SP3がトップに

 5月は、Windows XP SP3の提供開始を報じた記事がトップとなった。いろいろと話題のあったSP2と比べ、SP3は非常に地味な印象ではあったが、互換性をはじめ、各所に影響をおよぼすため、サービスパックに関する読者の関心は依然として高いようだ。

 2位には、6月に退任した黒川前社長の講演記事がランクインした。同社が推進するフィールド・イノベーションをあらためて強調するとともに、反省点なども紹介するなど、社長就任の5年間の総決算的な講演内容となっているのが印象深かった。

 ユニークな新製品としては、ベストロンのi会計が7位に入った。会計ソフトなのだが、ATMのような操作性と常に操作手順を案内するガイド機能など、一般の会計ソフトとはひと味違う特長が注目を集めた。

順位 記事名 掲載日
1ソフトウェア Windows XP SP3の一般向け提供が開始5/7
2トピック 富士通黒川社長、「富士通は業務を顧客に任せ、ITに偏りすぎた反省があった」5/15
3トピック NECが2007年度連結決算を発表、課題事業が黒字化し増益に5/16
4セキュリティ マイクロソフトの月例パッチ、5月はJetの脆弱性を含む「緊急」3件などを提供5/14
5トピック Windows XP SP3の提供が延期に、Dynamics RMSとの互換性に問題4/30
6トピック 「日本情報漏えい年鑑2008」が公開、内部犯行による漏えいが73%4/30
7ソフトウェア ベストロン、銀行のATM並みに操作が簡単なSaaS型会計ソフト「i会計」4/30
8トピック 富士通の2007年度連結決算は増収減益、サーバー事業は好調5/13
9ハードウェア アイ・オーなど、3000円台で購入できる非接触ICカードのリーダー・ライター5/8
10海外 米Sun、オープンソース版Solaris「OpenSolaris OS 2008.05」をリリース5/7


【6月】日本HPのモバイルシンクライアントがトップ

 日本HPのシンクライアント端末が1位に。主にコストの問題で普及も遅れがちだったシンクライアントも、ここにきて多くの企業で導入が促進。その要因の1つに、3Gデータ通信カードの性能向上が挙げられるという。

 また、米Dellデザインセンターの訪問記が4位にランクイン。芝生の光合成で生まれた電力を利用するPCなど、ユニークなコンセプトモデルが興味を集めたようだ。一方で、オープンソースで災害対策を可能にする「ENBD」にも注目が集まっている。

順位 記事名 掲載日
1ハードウェア 日本HP、12.1型液晶搭載の頑丈モバイルシンクライアント6/23
2海外 米Microsoft、仮想化機能「Hyper-V」を正式リリース、日本語版も提供6/27
3ハードウェア ブラザー、プリンタ・複合機6機種-自動両面プリントなど新機能多数6/25
4トピック 芝生がPCの電力源? 米Dellデザインセンター訪問記6/5
5ソフトウェア マイクロソフト、“PCと変わらない管理性”を備えた「Windows Mobile 6.1」6/18
6ソフトウェア マイクロソフト、Hyper-V日本語版の提供を開始6/30
7ソフトウェア 遠隔地とのデータミラーリングを実現する「ENBD」日本語版が無償提供へ6/6
8ソフトウェア アドビ、Flashムービー再生可能なPDFを作成できる「Adobe Acrobat 9」6/3
9トピック シマンテック、VMware仮想化環境での最適なバックアップ手法を説明6/20
10セキュリティ マイクロソフト、6月の月例パッチは“緊急”3件を含む合計7件を公開予定6/6


【7月】最新版のAcrobat 9に注目が集まる

 Adobe Acrobat 9の記事がトップ。PDFにFlashを埋め込む新機能が話題を集めた。その可能性について言及しているインタビュー記事も4位にランクインしている。

 レノボのノートPCのラインアップ一新を報じた記事が2位に入った。幅広いラインアップをそろえ、またジネスユーザーが多いメーカーだけに、多くの注目を集めている。

 また、ヴイエムウェアのサーバー仮想化製品「ESXi」の無償公開に関する記事にも注目が集まった。ハードウェア・ソフトウェア的なハードルがなくなる中、コスト的な障壁も解消され、仮想化は本格的に浸透を開始する。逆にコモディティ化が進み始めたと見え、仮想化製品の正しい選び方といった記事にも注目が集まるようになった。

 そのほか、マイクロソフトが次期製品から長音表記を変更することになったが、これを報じた記事が5位にランクイン。IT業界への影響力が非常に強い同社のことだけに、高い関心が寄せられた。

順位 記事名 掲載日
1ソフトウェア アドビ、Flashに対応した「Adobe Reader 9」日本語版を無償公開7/2
2ハードウェア レノボがThinkPadラインアップを一新、全8モデル投入で2008年を飛躍の年へ7/16
3トピック VMwareが語る仮想化製品の正しい選び方、「仮想化でひとくくりにしないで」7/4
4トピック アドビに聞く、Flashと統合した“最強”のAcrobat 9の使い方7/11
5トピック 「フォルダ」が「フォルダー」に、マイクロソフトが長音表記を変更7/25
6ソフトウェア OutlookとWindows Liveを同期させる無償アドインのアップデート版7/25
7ソフトウェア ヴイエムウェア、サーバー仮想化製品「ESXi」を無償公開7/29
8ハードウェア マウスコンピューター、Windows XP搭載で4万円台の法人向けスリムミニPC7/23
9ハードウェア ASUS、Eee PCシリーズの新製品「Eee PC 901」7/11
10ハードウェア NEC、幅93mmのRAID対応コンパクト水冷サーバー7/22


【8月】LenovoのミニノートPCがトップ

 1位には、LenovoのミニノートPCがランクイン。市場では一斉にネットブックが発売され、その小ささに驚きの声があがった。同時に普及が始まったのがSSD。価格が急速に下がり、ノートPCにもSSD搭載モデルが次々と現れ、性能と軽さに新たな光を投じた。まずは一般向け製品で認知されたSSDだが、10位にはIBMのエンタープライズSSDがランクインしているように、企業での利用も現実味を帯びてきたのがこのころだった。

 また、新アーキテクチャを採用したインテルの新CPU「Core i7」に関連した記事が7位と8位に登場した。残念ながらサーバーやワークステーションでの採用はまだこれからだが、デスクトップ向けが各種ベンチマークで高い性能を示しているだけに、関心を寄せる人も多いのではないか。

 ほかには、トレンドマイクロのウイルス検索エンジン更新を報じた記事が9位に入っている。PCに欠かせないウイルス対策製品の話題だけに、注目が集まっていた。

順位 記事名 掲載日
1海外 中国Lenovo、XPとAtom搭載のミニノートPC「IdeaPad S10」を発表8/5
2トピック 「無償化されたESXiで他社製品と比較を」、米VMwareラグラムVP8/12
3トピック NEC、2008年度第1四半期は減収減益-PCは12.7%増の62万台出荷8/1
4ソフトウェア マイクロソフト、Windows Home Server日本語版を発表-企業利用も可能8/20
5ソフトウェア マイクロソフト、SQL Server 2008日本語版の販売を開始8/1
6トピック 富士通、2008年度第1四半期は増収増益-企業向けPCが好調8/1
7トピック インテル、Nehalemも「Core」ブランドを継続-第1弾は「Core i7」に8/11
8トピック 米Intel、Core i7のサーバー・ワークステーションのロードマップを公開8/22
9セキュリティ トレンドマイクロ、カーネルメモリ使用量を最大70%削減したウイルス検索エンジン8/4
10トピック 米Intel、エンタープライズ向けSSDを発表8/21


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( 編集部 )
2008/12/25 08:54

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