Enterprise Watchで今年一年間掲載した記事の中から、アクセス数をもとに月別の10大ニュースを選出して紹介する。個人ユーザーでも関心が持てる記事へのアクセスが高くなりがちではあるが、ランキングを通じて業界全体の動きを振り返ってみる。
今回は、5月から8月までのランキングを紹介する。
■ 【5月】Windows XP SP3がトップに
5月は、Windows XP SP3の提供開始を報じた記事がトップとなった。いろいろと話題のあったSP2と比べ、SP3は非常に地味な印象ではあったが、互換性をはじめ、各所に影響をおよぼすため、サービスパックに関する読者の関心は依然として高いようだ。
2位には、6月に退任した黒川前社長の講演記事がランクインした。同社が推進するフィールド・イノベーションをあらためて強調するとともに、反省点なども紹介するなど、社長就任の5年間の総決算的な講演内容となっているのが印象深かった。
ユニークな新製品としては、ベストロンのi会計が7位に入った。会計ソフトなのだが、ATMのような操作性と常に操作手順を案内するガイド機能など、一般の会計ソフトとはひと味違う特長が注目を集めた。
■ 【6月】日本HPのモバイルシンクライアントがトップ
日本HPのシンクライアント端末が1位に。主にコストの問題で普及も遅れがちだったシンクライアントも、ここにきて多くの企業で導入が促進。その要因の1つに、3Gデータ通信カードの性能向上が挙げられるという。
また、米Dellデザインセンターの訪問記が4位にランクイン。芝生の光合成で生まれた電力を利用するPCなど、ユニークなコンセプトモデルが興味を集めたようだ。一方で、オープンソースで災害対策を可能にする「ENBD」にも注目が集まっている。
■ 【7月】最新版のAcrobat 9に注目が集まる
Adobe Acrobat 9の記事がトップ。PDFにFlashを埋め込む新機能が話題を集めた。その可能性について言及しているインタビュー記事も4位にランクインしている。
レノボのノートPCのラインアップ一新を報じた記事が2位に入った。幅広いラインアップをそろえ、またジネスユーザーが多いメーカーだけに、多くの注目を集めている。
また、ヴイエムウェアのサーバー仮想化製品「ESXi」の無償公開に関する記事にも注目が集まった。ハードウェア・ソフトウェア的なハードルがなくなる中、コスト的な障壁も解消され、仮想化は本格的に浸透を開始する。逆にコモディティ化が進み始めたと見え、仮想化製品の正しい選び方といった記事にも注目が集まるようになった。
そのほか、マイクロソフトが次期製品から長音表記を変更することになったが、これを報じた記事が5位にランクイン。IT業界への影響力が非常に強い同社のことだけに、高い関心が寄せられた。
■ 【8月】LenovoのミニノートPCがトップ
1位には、LenovoのミニノートPCがランクイン。市場では一斉にネットブックが発売され、その小ささに驚きの声があがった。同時に普及が始まったのがSSD。価格が急速に下がり、ノートPCにもSSD搭載モデルが次々と現れ、性能と軽さに新たな光を投じた。まずは一般向け製品で認知されたSSDだが、10位にはIBMのエンタープライズSSDがランクインしているように、企業での利用も現実味を帯びてきたのがこのころだった。
また、新アーキテクチャを採用したインテルの新CPU「Core i7」に関連した記事が7位と8位に登場した。残念ながらサーバーやワークステーションでの採用はまだこれからだが、デスクトップ向けが各種ベンチマークで高い性能を示しているだけに、関心を寄せる人も多いのではないか。
ほかには、トレンドマイクロのウイルス検索エンジン更新を報じた記事が9位に入っている。PCに欠かせないウイルス対策製品の話題だけに、注目が集まっていた。
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( 編集部 )
2008/12/25 08:54
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